第55話 そして、竜の女王の城へ・・・
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、忘れていた。
入り口で待ちかまえているのは、しゃべる馬だったということを。
城内はほとんど人がいないため、落ち着いた様子であり、天井が非常に高いことや通路が広いことを反映して、荘厳な印象を与えてくれる。
いきなり、竜の女王と謁見するのもはばかられるため、俺は部屋で休んでいるホビットの了解をとりつけた。
突然侵入してきた俺に対して、「どうぞ、どうぞ」と平然と答えるホビットに対してここの警備は大丈夫か?と心配になったのだが。
「大丈夫です。悪意を持つ人は、このお城に入ることができませんから」
と教えてくれた。
そんな特殊な結界が作れるのであれば、後で教えて欲しいと思ったが、神様ぐらいしか作れないかもしれないと考えて、後回しにした。
今回の目的を優先しなければならない。
女王の間に到着すると、中央の一段高い位置に、大きな竜が鎮座していた。
その竜は、背中にある羽を閉じ、目を閉じて、休んでいた。
その竜から受ける感じは、威厳と優しさを兼ね備えたものだった。
不思議と威圧感はなかった。
俺は竜が目を覚ますのを待とうかとおもったが、竜の目がかすかに開いたことから、近づくと、竜に挨拶をする。
「私は、冒険者アーベルです」
竜は頭に直接届く言葉を発した。
これが念話とか呼ばれるものだろうか。
「私は竜の女王。神の使いです」
俺は膝をついて、大魔王ゾーマを倒すことを説明し、助力を願った。
竜の女王を相手に言葉の駆け引きなど役に立たない。
役に立つとするならば、真摯な心しかないだろう。
俺の話を聞いた竜の女王は、わずかに首を上下に動かす。
「もしそなたに、魔王と戦う勇気があるなら、ひかりの玉をさずけましょう」
竜の女王は、明るい光る玉をからだから取り出し、浮遊させながら俺の足下へ届けた。
「このひかりのたまで、ひとときもはやく平和がおとずれることを祈ります」
王女は急に体を震えさせた。
「もうすぐ生まれ出る私の赤ちゃんのためにも・・・」
「大丈夫ですか」
「・・・」
俺の叫びにも反応することはなかった。
女王の間は、静寂に包まれていた。
女王は死んだのだろうか。
俺は冷や汗を流す。
竜の女王はまだ、卵を産んでいない。
大きく歴史を変えてしまったこと、そして、竜の女王を殺したと疑われることを考えると、体が震えてしまう。
落ち着いて報告しよう。
わかってくれるはずだ。
そう思ったとき、背後から扉が開かれた。
入ってきた女性は、俺と同じくらいの背丈でかなり細い体つきをしていた。
普通の人間と思ったのだが、どことなく違和感を覚えた。
先ほどの竜の女王ではないが、わずかに神々しさを感じることができる。
女性は、竜の女王と俺を交互に見やると、俺に声をかけた。
「お客
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