第55話 そして、竜の女王の城へ・・・
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「文献によると、そこは天界に一番近い場所と言われている」
「てんかい?」
セレンが首をかしげる。
俺は、人差し指を上に向けて答える。
「天にある世界。竜の神様がいるとか、いないとか」
「どっちなの?」
「会ってみないことには、なんともいえません」
テルルの質問に適当に返事する。
ゲームの世界では、何度も会ったが、現段階では確信が持てない。
「まあ、そう言った場所ならば、ほこらとか神殿とかが、あるのではないかと思う。
出来ればそこで、神様かそれに近い存在の力を借りたい」
「へえ、すごいですね」
「信じられない」
素直に感心するセレンと、疑う表情で俺を見つめるテルル。
「何が信じられないのかな?」
「アーベルが神様を信じていることよ」
「失礼な。ちゃんと信じていますよ」
少なくとも俺をこの世界に転生した存在がいるなら、間違いなく俺にとっては神様だ。
だからといって、お布施とか毎日の礼拝とかをするつもりは今のところ無い。
「アーベルの話はわかったわ」
テルルはため息をついて頷く。
「テルル、わかってくれたか」
「理路整然と話したり、突然突拍子もない話を持ってきたりするアーベルの考えが、絶対に理解できないということが、理解できたわ」
みんなが苦笑する。
俺も思わず苦笑する。
これまで、俺はパーティのリーダーとしてみんなの行動を決めていた。
いろいろ紆余曲折はあったにしても、みんなから支持されていた。
「母さん、どうでしょうか?」
「まだまだ、制御が甘いわね」
「もう少し、修行しますか」
俺は、眠い目をこすりながら、母親であるソフィアの感想を聞いていた。
夜中、アリアハンの外でソフィアと訓練をしていた。
俺が考案中の魔法を実験するためである。
呪文が呪文だけに、町中でするわけにもいかず、何もない草原で行っていた。
「まあ、呪文自体は問題ないから、後は、練習ね」
「ありがとうございます、母さん」
俺はお礼をいった。
ソフィアは宮廷魔術師として、いろいろな研究を行っている。
この実験もそのひとつではあるが、王から要請を受けた研究や、俺が依頼している研究についても日夜とりかかってくれている。
俺は一度大丈夫かと心配になって聞いたのだが、他の魔法使いがあなたに負けるものかと必死で研究をおこなっているから心配はいらないわと笑っていた。
俺達のパーティが大魔王や魔王を倒せば、俺がソフィアの後を継いで宮廷魔術師の座に就くことを恐れているのだろう。
他の魔法使いは俺が凱旋するまでに成果を上げようと、必死になって、王からの要請に応えているという。
魔法使い達には、無理して体を壊さないようにしてほしい。
「アーベル、遠慮はいらないわ」
「夜遅くまで付
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