第7章 終わりの始まり
第54話 そして、警告へ・・・
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ええ」
ジンクは俺達を会議室に案内してくれた。
王は冠の位置をしきりに気にしていた。
「つまり、今朝、金のかんむりが急に城の入り口に落ちていたと」
「そうです」
ジンクは頷いた。
「ひょっとして、俺の仕業である可能性を考えていたと」
「勘違いでしたが」
「仕方ないさ」
ジンクは説明が終わると、俺が書いた手紙を読んでいた。
「思った以上に足が速いな」
「どういうこと、アーベル?」
「恐らく、3姉妹は盗賊団を退治したのだ」
「たった一日で?」
「ルーラかキメラの翼を使えば、すぐにノアニールやロマリアに着くはずだ。いや、勇者を連れ去る前に、盗賊団を倒したのかもしれない。いずれにしても、計画的な犯行なのは間違いない」
「どういうこと」
「なぜ、3姉妹は黙って王冠を返したのか」
「わからないわ」
テルルは首を横に振る。
奪われた王の冠を取り戻す。
それだけで、報酬が得られるだろう。
なのに、それをしなかった。
普通ならあり得ない。
「ジンク、警備を」
俺はジンクに声をかける。
「わかりました。すぐに捜索をやめて、警備に集中するよう手配してください」
「かしこまりました」
衛兵の1人が、会議室から飛び出して素早く指示をだす。
「どうしたの」
「陽動だ」
「陽動?」
セレンは俺にたずねた。
「王冠が突然現れたら、誰でも混乱する。王様は違うようだが」
「そうですね」
俺の手紙を読み終えた、ジンクは苦笑する。
だが、顔が少し赤くなっている。
照れているのだろう。
「話がそれたな。3姉妹は警備を混乱させて、別の何かをねらっているはずだ」
「なるほど」
「だから、捜査を止めさせたのね」
「もう遅いかもしれないけどね」
ジンクは疲れたような声をだす。
「奪われそうなものに、心当たりは?」
「王室ですから、ありすぎて困るぐらいですよ」
「王の誘拐とかは?」
テルルが質問する。
「ないでしょう」
「ないな」
ジンクと俺は頷いた。
「王妃様」
先ほど指示を出していた衛兵が戻ってきた。
慌ててもどったのか、息づかいが荒い。
「どうしました」
「船が、船が奪われました」
「遅かったようですね」
「そうだな」
俺達はため息をついた。
「こうしてはいられない」
俺は、セレンとテルルの肩に手を回す。
「な、何をするのよ」
「・・・」
「ジンク、また後で。あと、艦隊出動の要請書を用意してくれ」
ジンクは頷いた。
「海上封鎖ですね、わかりました。気を付けてください」
「まだ、死にたくないからね」
俺は、ルーラの呪文を唱えて、ロマリア城内から次の目的地に移動した。
「3日目ですね」
「そうだな」
俺達はポルトガの南
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ