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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第48話 そして、説得へ・・・(1)
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「すごいです。テルルさん」
タンタルとセレンは感心する。

「どうして、キメラが持っているキメラの翼と、作られたキメラの翼が同じ形をしているかわかるかな?」
俺はテルルに質問してみた。
「覚えてもらうためじゃないかしら?」
「それにしては、同じ物をつくるのは手間がかかると思うけど」
俺がアイテムを作る立場なら、キメラの翼は使い捨ての消耗品であることから、性能さえ問題なければ安く仕上がるよう形を変えるはずである。
逆に25Gで本物と同様の形状性能を保つことができることが不思議だ。

「じゃあ、アーベル説明しなさいよ」
テルルは俺に文句を言い出した。
テルルも自説に穴があることを自覚していたのだろう。
テルルの口調は怒るというよりも、すねているといった感じだ。

「俺からの説明といいたいところだが、・・・」
「明日まで待てということですか?」
タンタルが補足する。
「確かに明日まで待つのだが、俺ではなくキセノンに説明をお願いしようと思う」
「アーベルはどうするの?」
セレンの指摘で、みんなが俺に注目する。
「俺は答えを知っているのでね」
「なんだと」
「ずるいです」
「アーベル。だましたのね」
みんなから文句を言われた。

「だますなんて心外だ。事実を知らないとは一言もいっていないし」
「みんなが誤った説明をするのを、1人だけニヤニヤしながら聞いていたのでしょう」
「アーベル。ひどいです」
「黒いな・・・」

「いまさら、俺のことをどう思われても構わないが」
俺は自嘲ぎみにみんなに説明する。
「俺は、考えることが大事だと思っている。
本を読んだり、人の話を聞いたりすることは大切だし、役に立つ。だが、書かれていることや人の話が世の中の全てではないし、正しいとは限らない」
皆が静かに俺の話を聞く。
「何が正しいのか、それを判断し決断するのは、自分自身が行う必要があるのだ」

「そのために、自分で考える必要があると?」
テルルがつぶやく。
「そうだ。当然、みんなの相談には乗るし、俺もみんなに相談を持ちかけるかもしれない。ただ、いつまでも俺がリーダーであるとは限らない」
「アーベル」
セレンが俺を凝視する。
「世界が平和になったら、パーティは解散だ」
「そうだな」
タンタルは頷く。

「こんな小難しい話をせずに、楽しいおしゃべりがしたかったのだが」
俺はさみしそうに話をする。
「ごめんね、アーベル」
「気にするな、セレン。最初に説明しなかった俺も悪い」
「というわけで、明日は回答編だ。楽しみにな」
全員の表情が、普段どおりに戻ったことを確認してから、パーティを解散した。


「アーベル」
しばらく、椅子に座って考え事をしていた俺の前にテルルが戻ってきた
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