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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第43話 そして、どっちへ・・・
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ルは不満そうにぼやく。
「運が良かっただけですよ」
俺がゲームで得た知識が無ければ、地下にある世界のことなどわからないし、大魔王討伐など考えもしなかったはずだ。

「ところでアーベルさん、次はどちらに向かいますか?」
タンタルは、俺に方針を尋ねた。

今の段階で地下世界に行く方法は2種類あった。
一つめはジパングで、俺達が発見した洞窟を抜ける方法がある。
行き先としては、マイラの村付近に到着できるはずだ。

二つめは、アッサラームとバハラタをつないでいた洞窟にある井戸から侵入する方法だ。
こちらは、ドムドーラの町に繋がっているはずだ。

さすがに、俺が地下世界の情報を知りすぎている事がばれると問題となる。
そのため、俺は、どちらに行くべきかまでは話が出来なかった。

「どっちといわれても、行き先の情報がわからないとね」
テルルはぼやく。
他の2人は黙っていたが、気持ちとしてはテルルと同じようだった。

「では、俺の意見を言います」
俺の意見はたぶん採用されるだろう。



俺達は、ダーマ神殿の北にあるガルナの塔に到着していた。
経験値を稼ぎ、戦力を強化するためだ。
下の世界で冒険するためには必要な行動だ。


ちなみに、下の世界はどちらを選ぶのかといわれたら、両方と答えるしかない。
大魔王ゾーマを倒すためには、下の世界にある、強力な武器防具の調達は欠かせないからだ。
それぞれ、たどり着く町で売っているものが違っているのだ。


俺は、意識を目の前の塔に戻すと、ぼやいた。
「この塔は、あれがあるから嫌なのだけどね」
「アーベル、我慢しなさい」
「まあ、覚悟はしていますが」
「アーベルさん。あれってなんですか?」
タンタルの質問に俺は首をすくめて答える。
「もうすぐ、わかりますよ」


「アーベルさん。あれを渡るのですか?」
「そうですよ」
「無理です」
「他のルートはないの、アーベル?」
「ありません」
目の前には、一本のロープがあった。
「皆さん、がんばって渡ってください」
「アーベルは、平気なの?」
「卑怯よアーベル。自分だけ呪文で空を飛ぶつもりね!」
テルルは俺の考えを見抜くと騒ぎ出す。

「セレン、アーベルにマホトーンを」
テルルはセレンに指示を出す。
マホトーンとは、相手の呪文を封じる呪文だ。
「待ってくれ、テルル。この呪文はみんなの為に使うのだ」
俺は慌てて、抗議の声を上げる。
「どういうこと?」
「俺は、みんなが落ちないように、サポートをするつもりだ」

俺は、テルルの手を取ると、ロープの方へ歩き出す。
「ちょっ、ちょっとまってよ、アーベル」
「大丈夫だよ、ほら」
俺は、飛翔呪文トベルーラを完璧に使いこなしている。
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