第36話 そして、結婚へ・・・
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こと。
成功した場合、部下をキチンと誉め、失敗しても責めずに「次はがんばれよ」と励ますからだ。
仕事を理解していないのに、いろいろ口を出す指導者が多い中、彼は自分の身をわきまえている。
任せて正解だったな。
「まあ、何かあればジンクがいるだろう」
俺はそう思っていた。
思考を今の自分の姿の事に移すと、思わずため息をつく。
「姿をごまかすためとはいえ、これはひどくないか?」
「かわいいわよ、アーベル」
「かわいいです」
テルルとセレンは高く評価してくれる。
だが、全然うれしくない。
俺が身につけているのは「ぬいぐるみ」というアイテムだ。
着ぐるみとも言う。
母親に、ロマリアに行くことを相談したときに、借りてきたのだ。
俺の全身が隠れているから、見た目は着ぐるみでしか評価をされない。
「まあ、すぐ噂になるな」
俺はため息をついた。
歩いていると、何人かの子ども達に抱きつかれたからだ。
城内に入るとき、近衛兵に検問を受けた。
当たり前だ。着ぐるみで歩くなど、怪しいにもほどがある。
幸いにも、近衛兵は知っている奴だった。
「お気をつけて」
奴の姿勢は完璧だったが、今にも吹き出そうな表情をしていた。
俺はこのときほど、王を退位したことを残念に思ったことはなかった。
城内に入れば、ぬいぐるみは不要だ。
すぐに脱いで、普段着に戻る。
「かわいかったのになぁ」
「残念です」
「だったら、お前達が着ればいい」
セレンとテルルの攻撃をかわしながら、俺は今日の目的の人物に声をかけた。
「ひさしぶりだな、ジンク」
「あ、お久しぶりです。アーベルさん」
「よく似合っているよ、ジンク」
「お世辞でも嬉しいです」
「俺は、お世辞などいわない。本当に綺麗だよ」
ジンクは頬を染めた。
突然ジンクは俺のそばにより、耳元でささやく。
「こうかいした?」
急に話題を変えてきたな。
「いや、まだだ。これが終わったらのんびりと船旅に・・・」
ジンクは俺の返事にあきれた顔をみせた。
俺は回答を誤ったのだろうか。
慌てて、別の話を振る。
「それよりも、早く子どもを産んでくれ」
「・・・。恥ずかしいことを言わないでください」
いや、今のロマリア王に何かあったら、前王である俺や、将来生まれる俺のこどもが王位継承争いに巻き込まれかねないのだ。
そんなことを考えながら、改めてジンクの衣装に目を移す。
うむ、やっぱり花嫁衣装は白いドレスがいいよね。
しかも、華美さが抑えられていて、ジンクが持つ清楚な感じが引き立てられる。
言動にさえ注意を払えば、立派に王妃はつとまるだろう。
言動と言えば、以前の宴会で豊胸呪文「特盛り」を披露していたな。
後から教えてもらったが、正直
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