暁 〜小説投稿サイト〜
ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第33話 凱旋式
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んいるぞ!」
俺は、思わず頭を抱えそうになった。

この国の凱旋式のしきたりで、ある場所だけは凱旋者を批難することになっていた。
聞いたところでは、凱旋者が調子に乗りすぎると、神様が嫉妬して天罰を与えないように、わざと批難の声をあげるとのことだ。
俺の考えでは、ここで住民や同僚からのやっかみをぶつけることで、妬みを減らすことに繋がると考えていた。
「伝統とはいえ、これはひどい」
「まあ、我慢するのだな」
デキウスに慰められていた。

「総統の嫁さんは、訓練だ!」
「金よりも、戦い大好き、司令官!」
「おまえら、うるさい!」
デキウスは周囲を怒鳴り散らす。
それでも顔は笑っている。
この男は子どもの頃から、凱旋式にあこがれていたはずだ。
望みがかなって、嬉しくないはずがない。
俺たちは、いつしか笑いあっていた。


俺たちは、小高い丘に向かっていた。
いつしか、にぎやかな声も収まり、俺たちも後に続く兵士達も、厳粛に歩みを進めていた。
向かっているのは、建国者たちが眠る神殿だ。
そこで、俺たちは祖先達に勝利の報告と感謝を伝えることになっている。
神殿の最奥部は俺たちしか入れない。

そこには、なにもなかった。
だが、ここには多くの人々の希望や感謝がつまっているのだろう。
少しも、寂しくはなかった。
俺たちは何もない場所で、頭をさげ、静かに祈りをささげた。





数日後、俺は執務室で手紙を書いていた。



母さんへ

お元気でしょうか。
先日のなじみの塔でのご活躍を聞いておりますので、心配はしておりませんが。
逆に、一緒に戦った、父さんより前衛に立っていたことを聞いて、少し心配しております。
近衛兵の戦力についてですが。

先日、こちらでは、凱旋式が行われました。
壮麗で、身が引き締まる思いでした。
ぜひ母さんにも見てもらいたかったのですが、戦後処理に追われていたそうで残念です。
凱旋式が終わったあと、宴会が始まったのですが、大変でした。



どのくらい大変かというと・・・



「おい、王様よ!酒を飲んでないのか」
「体が受け付けないので」
「おい、俺の酒が飲めないのか!」
「飲めません」
俺は、近衛兵総統のデキウスに断言した。

「・・・」
俺の固い決意に断念したのか黙っていると、
「!」
「おら、おら」
強引に酒を飲ませようとする。
「離せ!」
俺は素早く立ち上がり、逃げてゆく。

「主賓が逃げるな!」
「お前がいれば十分だ!」
俺は、逃げながら叫んだ。
主賓は2人だ。
1人残れば十分だ。

「ふう」
俺はため息をつき、水を飲みながら別の席に座る。
堅苦しいのが苦手な俺は、無礼講にしたのだが、あ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ