第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十八 〜幽州での戦い〜
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「どうやら、こちらの策が上手く行ったようだ。皆の者、一当したら、算を乱して逃げよ!」
此方は三千、まともに遣り合えば潰滅は必至。
「いいな、鈴々。あまり怪しまれぬように、抵抗しながら逃げよ」
「うー、無茶言うのだ、お兄ちゃんは」
迫り来る賊の群れに、矢が放たれる。
だが、所詮は散発的な射、戦果は期待するだけ無駄と言うもの。
逆に、敵の矢が飛んできて、周囲に突き刺さり始めた。
「土方。いつまで敵を引き付けるんだ?」
矢を剣で叩き落しながら、公孫賛が叫ぶ。
「まだ、このままだ」
「うう、ますます私の軍は弱い、と風評が立ちそうだな……」
「公孫賛殿。そのようなもの、勝てば吹き飛びましょう。今は、気落ちしている場合ではないと存じますぞ!」
そのまま、徐晃も残って加勢してくれている。
「手勢を預けている私が、素知らぬ顔は出来んさ」
だが、一歩誤れば、みすみす兵を失う策。
その中で、徐晃ほどの猛者が加わってくれるのは、正直心強い。
「ぐふっ!」
「がはっ!」
……やはり、被害は防げぬか。
賊軍との距離はますます縮まり、あちこちで剣戟が聞こえ始めた。
「くたばりやがれ!」
「させないのだ!」
迫ってきた賊を、鈴々が突き殺す。
「やるな、流石は張飛!」
負けじと、徐晃が大斧を振るう。
豪傑二人、まさに鬼神の如し。
……そろそろ、頃合いか?
「公孫賛、合図だ!」
「よし、全員退け! 私が、殿を務める!」
「応っ!」
少しずつ、被害が増えていく。
だが、賊の追撃の手は、決して執拗ではない。
寧ろ、次第に鈍り始めたようだ。
「奴ら、輜重を取り囲んでいるぞ!」
「やはりな。後は、皆に任せよう」
輜重が、燃えている。
「ど、どうなってんだ!」
「畜生! 中身は食い物じゃないぞ、油だ!」
右往左往する賊。
その間にも、引っ切り無しに飛来する、火矢。
それが突き刺さる度に、火の手が賊をまた一人、巻き込んでいく。
「今や! いてまえ!」
「応っ!」
そこに、霞の騎馬隊が突っ込んだ。
敵の中央を、文字通り切り裂いていく。
「歳三様、ご無事でしたか」
「お兄さん、やりましたねー」
「稟も風も、ご苦労だった。後は、愛紗達だが」
「申し上げます! 黄巾党一万余、山塞を出たとの事です!」
「うむ。公孫賛、下知を」
「お、おう。皆の者、よく耐え抜いてくれた! その鬱憤、一気に晴らしてしまえ!」
「応!」
そして、彼方で別の、火の手が上がった。
「どうやら、愛紗ちゃんも上手くやったみたいですねー」
「ああ」
がら空きになった山塞を落
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