第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十八 〜幽州での戦い〜
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入れるべき人物であろう。
「……私は、土方と言う」
私の事を知っている、そんな顔をしているな。
「やっぱりな。アンタが噂の、義勇軍を率いている人物。で、間違いないな?」
「どの噂かは知らぬが、確かに私は義勇軍の指揮官だ。だが、何故わかった?」
「さっきも言った通りさ。俺にも、その程度はわかるよ」
周倉は、不敵に笑う。
「もう一つだけ、聞かせてくれ」
「いいだろう」
「廖化はどうしてる?」
「周倉とやら、廖化を知っているのか」
「勿論だ。奴は、俺とは刎頸の友さ」
「そうか。だが、廖化はここにはおらぬ。我が軍にいる事だけは確かだがな」
愛紗と共に、今は作戦行動中。
まだ、それを教える訳には参らぬ。
「いや、生きているならそれでいい。俺も、廖化と同じように、配下に加えて欲しい。頼む!」
縛られたまま、頭を下げる周倉。
「それが、何を意味するか。よくよく存じた上であろうな?」
「覚悟の上よ。それに、何儀達のやり方にもうんざりしていたところだ。官軍と戦うよりも、民を襲う方が多いなんて、どうかしてる」
吐き捨てるように、周倉は言った。
「ならば、我が策に従うか?」
「……じゃあ、俺を配下にしてくれるんで?」
「ひと働きしてみせよ。それ如何だ」
「ありがてえ! 俺、頑張るからよ!」
髭面に笑みを浮かべて、周倉は頷いた。
「てめぇ! 仲間を売るつもりか!」
もう一人の男が、叫んだ。
「もう俺は懲り懲りなんだ。役人どもが腐りきってるから黄巾党に入ってみたが、黄巾党も腐ってやがる」
「この野郎!」
いきり立つ男だが、兵士に抑え込まれる。
「周倉。この男は?」
「へっ、劉辟の腰巾着野郎だ。大方、俺の監視ってところさ」
「そうか。では、他の賊と同じく、他人を無闇に殺めたり、女を手篭にしたりしている……。そうだな?」
「ああ」
「わかった。なら、生かしておく価値はない」
兼定を抜き、男に突きつける。
「ま、待ってくれ! 何で俺だけが! コイツだって黄巾党なんだぜ!」
「言い残すことはそれだけか?」
「ひ、ひーっ! 嫌だ、死にたくねぇよ!」
往生際の悪い男を、一刀で斬り捨てる。
「……容赦ないんだな、大将は」
「人の皮を被った獣など、生かしておく意味はない。……気に入らぬか?」
「いや、どのみち生かしちゃおけない野郎だ。大将のやり方、俺は悪くないと思う」
「そうか。公孫賛、徐晃殿。これが、私の流儀だ。心に留めておいていただきたい」
「……本当、これじゃますますどっちが将か、わかんないな」
「…………」
徐晃は何を思うのか、答えなかった。
「賊軍です! 数は凡そ、二万五千との事!」
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