第30話 これからのロマリアの話をしよう
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子を見て、計画は失敗したと思われた。
計画に賛成していた、近衛兵総統のデキウスは「話が違う」という様子で俺を睨んでいる。
財務大臣のガイウスは「しょせん、どこの馬の骨ともわからん小僧が」と侮蔑している。
このまま、会議の主導権を握り、兵の削減や、税の増額などを提案するつもりだろう。
内務大臣のマニウスは、疲れた様子だ。
ひととおり資料を見て、計画の概要自体は納得したようだが、協力は得られない計画は無理だと考えているようだ。
「できるだけ早く、会議が終わって欲しい」
そう思っているのだろう。
外務大臣のレグルスは、ニヤニヤしながら俺を眺める。
まるで「いい気味だ」とでも言わんばかりに。
「財務大臣がご協力頂けないのであれば、計画に必要な資金はまかなうことができません。
本当に残念です」
俺は悲しそうなまなざしで、財務大臣ガイウスを見つめる。
「計画が中止となれば、俺は暇になります」
ガイウスは、俺を睨む。
知ったことではないといいたげだ。
「暇な間に俺は、裁判の勉強を始めようと思っています」
「だから、どうした」
ガイウスは耐えきれずに俺に意見した。
「ちょうど目の前に、ちょうどいい学習材料がありましてね」
俺は、別の資料をガイウスに手渡す。
ガイウスは訝しみながらも、資料を手にすると、すぐに驚愕の表情に変化する。
「勉強の途中ですが、これだけの材料があれば死罪及び財産の没収は免れないと思っています」
俺は澄まして答える。
「それは、それは・・・」
俺は困惑するガイウスを助けるように話しかける。
「計画が承認されれば、忙しくて裁判どころではなかったのですが、ちょうどいい機会です。徹底的に勉強しようと思っています」
俺がガイウスに手渡した資料は、ガイウスが手を染めた癒着資料と王国の乗っ取り計画案の写しだ。
ガイウスも秘密が漏れないよう、厳重に保管していたのだろうが、ジンクは鍵開け呪文と姿が透明になる呪文を持っている。秘密を隠すことなど出来はしない。
もっとも、この資料は前王がジンクに依頼したものだ。
本来は四大貴族を滅ぼすために集められた資料だ。
ガイウスの様子が変わったあたりから、デキウス以外の貴族達も俺が何をしたのか理解したようだ。
皆、恐怖で顔をゆがめている。
ただ、デキウスは1人だけ、「計画が失敗したなら、早く会議終わらないかな」とぼやいている。
ガイウスは絞るような声で俺に話しかける。
「なにが望みだ」
「今回の計画が実行されれば、裁判どころでは無くなりますね」
「・・・、わかった。認めよう」
「近衛兵総帥デキウス」
俺に呼ばれた、デキウスは姿勢を正す。
「なんでしょうか」
「そなたは、計画に賛成か」
「当然、賛成です」
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