第30話 これからのロマリアの話をしよう
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俺がいつも使用する、王宮の会議室。
円卓の机には俺と前王、近衛兵総統デキウス、そしてこの国の冒険者ギルドの長がいた。
デキウスはあいもかわらず、おもしろくなさそうな顔をしている。
早く終わって、訓練に励みたいようだ。
ならば、黙って聞いていて欲しい。
そして、冒険者ギルドの長は値踏みをするような目つきで俺を眺めている。
当然彼は、俺の能力を知っている。
「血縁でもないのに、なんでこんな奴が王様に」
恐らく、そんなことでもかんがえているのだろう。
まあ、口には出さないので本当のところはわからないが。
口を開いたのは、デキウスだった。
「今日はいったい、なんの話だ」
予想通り早く話を終わらせろという口調だった。
俺は、デキウスの希望に応えることにした。
「これから行う、領土解放計画についてです」
「領土解放?」
「!」
デキウスは「何のことだ?」という顔をして、ギルドの長は驚愕を隠せないでいる。
それもそのはず、これまでモンスターの侵攻を食い止めたという話はあっても、領土を復活させたという話は聞いたことがない。
訓練やモンスター退治に明け暮れるデキウスですら「それは無理」と考え、提案すらしたことがなかったのだ。
それを、他国から来たばかりの口先だけの王様が、言い出すこととは信じられない。
それが、疑問符や驚愕の答えになったのだ。
「口先だけなら、何でも言えるということか」
デキウスは殺気を込めて俺を睨む。
俺は内心ひるみそうになったが、耐えることができた。
復活可能とはいえ、この世界で命のやりとりをした経験が、生きている。
俺は、冷静に答える。
「そうですね、あなたがたの力を借りなければ口先だけになるでしょう」
「近衛兵の力があれば、可能だと?」
デキウスは俺を見下すような顔をする。
「解放計画は建国以来、何度も行われてきた。だが誰も成功していない」
「どうしてでしょうね」
俺はデキウスに問いかける。
「決まったことだ、モンスターどもが集団で襲ってくるからだ!」
デキウスは机を叩きながら答える。
俺は無視して質問を続ける。
「どの程度の数で、モンスターは集まりますか?」
前王が口を挟む。
「四代前の王の時が最後だったが、二千以上と聞いている」
デキウスは補足する。
「さらに、同時にロマリアも同じ規模で襲ってきたのだ!」
「モンスターはどの程度の強さですか」
「ここらへんにいる奴らと同じだ」
「だが、数が違いすぎる」
デキウスは指摘する。
「同数であれば対応可能だが、そこまでの戦力はこちらにはない」
ロマリアが持つ兵力は約三千。
確かに現在の兵力では、城と開放する地区の両方は守りきれないだろう。
だが、俺には計画があった。
「兵士の
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