第4章 新生ロマリア王国
第27話 迷ったら 現場に戻れと 言われても 俺の現場は 何処にあるやら (詠み人 アーベル)
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屋を出た。
他の貴族は驚いたが、デキウスの対応をみて苦笑する。
「デキウスらしいな、落ち着きの無い奴め」
白髪で長髪の老人が俺に声をかける。
財務大臣を務めるライブラ家の当主ガイウスだ。
ジンクからの話では、国家財政を担いながら、商業ギルドとの癒着で財を蓄えている強欲爺さん、と言うことだ。
「わしから、話すべき事は税率の引き上げだな」
他の重臣のうち若い者はうなずき、中年の男は険しい表情をする。
ちなみに、前王は座っているが話をしないよう、あらかじめ釘をさしている。
ジンクは重臣ではないので、部屋の入り口で待たせている。
「デキウスがいないから言うわけではないが」
前置きをしてガイウスが説明する。
「兵士があまりにも多すぎる。
兵を減らすか、給金を引き下げないと将来が問題だ」
若い重臣はうんうんとうなずき、中年は困ったような顔をする。
「他にもあるが、細かい話だ。今言うことはそれだけだ」
デキウスと異なり、ガイウスはそのまま話を聞くようだ。
普通はそうするものだが。
「さて、マニウス。君の話を聞こうではないか」
「そ、そうですな」
ガイウスから話を振られた中年の男は、しどろもどろに話し始める。
内務大臣マニウス。スコーピオ家の当主だ。
見るからに小心者で、実際小心者だった。
「わたしの方からは、特に・・・」
「それなら、わしのほうから話しをしよう」
ガイウスが突然話を引き継いだ。
「今、財政が厳しいのだが、徴税員が不足しているのも原因である」
「あ、あの・・・」
「マニウスは、優秀な官僚集団をかかえているのだが、何人かを回してほしいのだ」
「そ、それは・・・」
マニウスは額に汗を流し、しどろもどろに返答する。
「マニウスは、国家財政が厳しい折、手伝うのを拒むつもりか?」
「い、いえ。そんな・・・」
「おまちください」
俺が口を出す。
「今、決めるという話ではありません」
「では、いつ決めるのだ。国が傾いてからでは遅いのだ」
「一月や、二月で傾くほど、徴税員が不足しているとは思えませんが。違いますか?」
「・・・」
ガイウスは沈黙する。
「マニウスよ」
「は、はい、アーベル王さま」
「特になければ、話を進めてもかまわないかな」
「はい」
俺は、若い重臣に視線を移す。
彼の名はレグルス。外務大臣を務めるカプリコーン家の当主だ。
レグルスは挑発的な目を向ける。
若いと言っても、20代後半だ俺よりも10歳は年上なのだ。(見た目の年齢が)
「今後の交渉は、全て私にまかせて欲しいものですな」
レグルスは不満そうに口を開く。
レグルスの不満はもっともだ。
3カ国交渉の担当は外務大臣である自分のはずだった。
ところが、ジンクという元遊び
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