3*パジャマの不審者
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とを1番最初に放棄してしまったのだ。
しかし、このたった一人の青年はそれをしなかった。
この軍団を前にして、最後まで諦めなかったのだ。
「…そうか。」
この青年は争いを好まない、彼はそう判断した。
そして、兵士達に武器をおろさせ、最後の質問をした。
「それでは、最後の質問だ。
君は、何処の出身でどんな能力を持つ?」
彼が聞いたのはここにいる皆が知りたがっていること。
簡単に答えてくれるかは解らないが、彼自身も知りたかった。
「出身は…日本だ。
能力はGSPと自分は勝手に呼んでいる。」
案外簡単に返答された、しかし、どちらも聞いたことが無い。
しかし、聞けただけ今はいい。
「私の名前はゼノア・ランドルフ、いきなり失礼なことをして申し訳なかった。」
はっきりとした謝罪の言葉。
隊長が謝罪をする、つまりこれは、今までの行為は不当だったと認めたということである。
そして、握手をもとめた。
これは正式な自己紹介である。
「はぁ、よろしくお願いします。」
しどろもどろしながら相手も応じる。
「ところで、君には今から城に来てもらいたいのだが、宜しいですかな?」
もちろん謝罪の正式なお詫びのために。
というのが面目上だが、実際は彼がこの者に激しく興味を持ったのだ。
「…わかりました、じゃあお願いします、ランドルフさん。」
ランドルフさん。
そう呼ばれたが、余り呼ばれた事がないので、違和感があった。
「そっちではあまり呼ばれ慣れてないから、ゼノアと呼んでくれないか。
別に呼び捨てでも構わないから。」
なので訂正を促しておいた。
しかし、本音は彼に友達として名前で呼ばれたかったからだ。
あんなことの後であるので、高望みかも知れないが。
「わかった、じゃあゼノア、よろしく。」
しかし、彼はそれに応じてくれた。
それがとてもうれしかった。
「こちらこそよろしく、ナルミ。」
そして彼、ナルミを馬車に乗せ、自分は馬に跨がり、先頭を行った。
ニホンていう国や、ジィエスピイなる能力がどんなものか、そんなことはどうでもよくなっていた。
彼と友達になれるかもしれない、そんな期待を胸に込めながら彼は城に、ウェンノルス城へと駆けていった。
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