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ラインの黄金
第二幕その十四
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第二幕その十四

「それでフライアは」
「フライア、こちらに戻るのだ」
「はい」
 それを聞いてやっと笑顔になったフライアだった。
「それでは」
「青春は買い戻され我々のところへ戻って来る」
 ヴォータンは言った。
「さあ、だから指輪をだ」
「うむ、わかった」
「それではな」
「これで終わりだ」
 ヴォータンは右手でその左の薬指の指輪を抜いた。そうしてそれを隙間に置いた。フライアはそれと共に離れ姉のところへ駆け寄る。彼女はその妹を強く抱き締めそのうえで安堵の息を漏らすのだった。
「今まで大変だったわね」
「ええ。けれどこれで」
 彼女達は救われたのだった。そして巨人達はその間に宝物を収めようとしていた。ファフナーは早速袋を取り出してそこに宝を入れていく。
 しかし袋は一つだ。それを見てファゾルトが抗議する。
「おい、待て」
「何だ?」
「わしの分もあるのだな」
「あることはある」
 憮然とした顔で兄に告げるのだった。
「しかしだ」
「何だ?」
「あんたの袋はない」
 実に冷たい声であった。
「そんなものはない」
「何だと!?公平に分けるべきだ」
「知るか、そんなことだ」
 またしても冷たく返す弟だった。
「わしはわしの取り分を貰う」
「取り分だと!?」
「そうだ。女に惚れたな」
「フライアにか」
「そうだ。じゃああんたは女がよかったんだ」
 こう兄に言うのだった。
「何とか黄金と取替えさせたが」
「それがどうかしたのか?」
「フライアが手に入ったらフライアはあんたばかりのものになっていたな」
 そのことをわかっていたのである。彼も。
「だから宝はわしが多くを貰う。それでいいな」
「何と言うことだ、そんなことを言うのか」
「そうだ、宝はわしが多く貰う」
 こう言って引かない。ファゾルトはそれを聞いてたまりかね神々に顔を向けて言うのだった。
「これについてどう思うか」
「どう思うかか」
 彼に応えたのはローゲであった。
「我々に何を求めているのだ?」
「裁決を頼む」
 彼が求めているのはやはりそれであった。
「あんた達にだ。正義に従って公平に裁決してくれ」
「それではだ」
 ローゲはそれを受けて裁決をするのだった。
「宝の殆どはファフナーでだ」
「うむ」
 ファフナーがそれに頷く。
「指輪はファゾルトだ。それでいいな」
「指輪はわしか」
「それで権勢は御前のものだ」
 あえて呪いのことは言わないのだった。
「それでな」
「よし、ではわしはそれを貰おう」
 ファゾルトも権勢と聞いてそれで頷くのだった。そうして指輪に手をやる。
「それではだ」
「待て、それはわしのものだ」
「何だと!?」
「気が変わった。他の宝はあんたにやる」

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