第25話 そして、ロマリア王位へ・・・
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こともない。
俺は、慣れ親しんだみかわしの服を脱ぎ、新調した旅人の服に着替えると、ロマリアへ移動した。
「アーベルよご苦労だった」
「はっ」
「表をあげよ」
俺は、ロマリア王の姿をみる。
ロマリア王はにこやかな顔で、俺を眺めると
「そなたのおかげで、交渉が成功した。我が望みの船も手に入れた」
「恐れ入ります」
「褒美を授けようとおもってな」
ロマリア王は、玉座から立ち上がると俺に話しかける。
「そなたは、魔法使いだから、防具に苦労していると聞く」
「おっしゃるとおりです」
近くにいた、ジンクに視線を移す。
どうやらジンクは、俺の言動を、王に報告したようだ。
「ではこれを受け取るがよい」
ロマリア王は召使いを呼び寄せると、盆の上に、何かが乗せてあり、その上に白い布をかぶせている。
大きさから言えば、頭にかぶるものだろう。
俺が装備できるものであれば、これは不思議な帽子なのだろう。
防御力が上がるだけでなく、消費MPを抑えることが出来る。
「ありがたくいただきます」
そういって、布をめくると金色に輝くものがおいてある。
「・・・、これは」
金のかんむりがそこにあった。
「金のかんむり・・・」
周囲の重臣達は騒然となった。
「さあ、早く身につけるがいい」
ロマリア王はにやりとした。
俺は呆然とした。
目の前のかんむりはロマリア王家の象徴。
俺に、ロマリア王位を受け取れと。
「アーベルよ、不満なのか」
ロマリア王が不思議そうに尋ねる。
「自分はロマリア国民ではありませんが?」
「王位につけば、自然にロマリア国民となる」
王はすまして答える。
確かに、王はロマリア国民に違いない。
「なぜ、俺にこれを?」
「うちの息子につがせるよりは、よかろうとおもってな」
俺は思わず、ロマリア王の息子を捜すため周囲を見渡す。
「奴は今頃、カジノにいるだろう。安心して毎日入り浸りできると喜んでいた」
俺の視線に気づいたのか、ロマリア王は答えをくれた。
「・・・、そうですか」
息子が息子なら、親も親だ。
俺はため息をつく。
重臣達は我に返ったのか、意義を唱え出す。
「お待ち下さい、ロマリア王」
「なにとぞ、ご自重ください」
「おい、アーベル。呼ばれたぞ」
目の前のロマリア王は笑いながら俺に声をかける。
「はい?」
「王!」
「静まれ!」
ロマリア王は周囲を一喝する。
重臣達は静まりかえる。
「これを誰かに渡すことはできますか?」
俺は、最後の手段を提案する。
「1年後か、あるいは死ぬことで」
「そうですか」
前者の提案しか受け入れられない。
俺はため息をついて、冠に手を伸ばす。
「新たなロマリア王の誕生を祝して」
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