第23話 そして、いつか通れなくなる道へ・・・
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俺とセレンとテルルとジンクの四人はアッサラームの東にある洞窟にいた。
ポルトガ王からの依頼に応えるためである。
この世界において、船を造るために必要な鉱石が不足したため、アッサラームの東にある洞窟に住むホビットから、鉱石の買い付けを行うためである。
ポルトガ王が用意した親書を俺たちが預かっていた。
「どうして、わたしたちが行くのよ、アーベル」
テルルの俺に対する質問は、依頼ごとへの不満と言うよりも、ポルトガ王の真意を問いただすものだった。
アリアハンとポルトガとの当初の交渉内容は、ポルトガがアリアハンに船を提供する替わりに、アリアハンが勇者をポルトガに派遣することであった。
変更後の合意内容は、俺たちが鉱石の買い付けを行うことで、アリアハンに船を提供する内容に変わっていた。
「まあ、本当の目的はこの先にあるだろう。ここはついでみたいなものさ」
「ついで?」
「この洞窟の先にある町周辺でとれるものが必要みたいでね」
「なんですか、それ?」
テルルは質問する。
「防腐剤のようなものだ。店では引き取ってもらえないようだが」
「あ、そう」
テルルは売れないことがわかると、とたんに興味をなくしたようだ。
ジンクに確認したところこの世界では、ゲームと同様にこしょうは売れないことがわかった。
こしょうの効能が分かれば、売れるようになるかもしれないが、現時点ではポルトガ王だけが、この調味料の価値を知っている。
だから、現時点ではルーラで移動しても、没収されることはないだろう。
ただし、テルルに知られれば、父親であるキセノン商会に知られることになり、キセノン商会による独占が進められる危険性をはらんでいた。
このため、こしょうの秘密はテルルにも話していない。
当然、交渉の同意書でさえも、こしょうの内容は一切記されることはなかった。
アリアハンもロマリアもこしょうの価値を知るものは、俺とジンクしかいなかった。
俺と、ジンクはいざというときの切り札として、こしょうのカードを持つことを合意したのだ。
「なんだ、お前達は」
俺は目の前のホビットに声をかけると、不機嫌な声が返ってきた。
たしか、このホビットは人間を嫌っていたはずだ。ただ1人を除いて。
「私たちは」
「私たちは」
俺とジンクとの声がかぶってしまった。
「ポルトガ王から、書状を預かっております」
「ポルトガ王から、書状を預かっております」
「船の建造に必要な鉱石を送って欲しいとの要請書です」
「船の建造に必要な」
声がかぶったからといって、途中でやめるのもどうかとおもうぞジンク。
「そうか、あいつからの使いか」
ホビットは頷くと、俺が持つ要請書を受け取った。
「たしかにあいつらしいな」
ホビットは一通り読み
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