第22話 そして、餌付けへ・・・
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東方の国でとれます」
「商人が通行するのであれば、ロマリアの許可が必要であると」
「そういうことです」
ポルトガ王はしばらく考えてから、ジンクに向けて問いかける。
「・・・ロマリアは、船が必要であると」
「そうですね。象徴として一隻あれば十分です」
ジンクは正直に答える。
ロマリアの支配地域は限定されている。
広い海に出ようとすれば、ポルトガを通過しなければならない。
また海軍のないロマリアは、海では海洋王国であるポルトガに逆らうことはできない。
「そして、アリアハンも必要であると」
「勇者の冒険には、1隻あれば十分でしょう。オルテガの時と同様に」
「そうだな」
現在のアリアハンにも、海軍は存在しない。
勇者の冒険用に一隻あれば十分だ。
ちなみに、オルテガが使用した船はもともとアリアハンが所有していた最後の一隻であり、
モンスターの襲撃を受け沈んだ。
「とはいえ、船が完成するのは1年かかるぞ」
「ロマリアは待つことは構いません。友好の為であれば」
ジンクは正直にいった。
約束までの期間が長ければ、それだけの間友好が保証できるともいえる。
約束が守られる限り。
「我が国は既に完成している船で構いませんよ」
俺も希望を伝える。
「・・・。装備を変更するのに1月はかかるだろう」
ポルトガ王は、そばにいる重臣からの説明を受けてから答えた。
「かまいません」
「それでは交渉成立だな。細かい内容は、彼らと話を詰めてくれ」
ポルトガ王は、そばに控える重臣に視線を移した。
「ありがとうございます」
俺とジンクはポルトガ王に一礼した。
「アーベル、どうして上手くいったのですか?」
「味ですよ、味」
「でも、この前の食事のときは、あまり旨そうに食べてなかったようですが」
「そうですね。ただあれは、中毒性が高いですから」
前の世界でのポルトガ王は、いつもこしょうを食べていた。
そのため、俺はすぐに食いつくだろうと思っていたのだ。
「それにしても、アーベルはすごいですね」
「おせじを言っても、なにも出ないぞ」
「いえいえ。ただ、」
「どうした、ジンク?」
「なぜ、今回はキセノン商会を使わなかったのですか」
どうやら、ジンクは俺とキセノン商会との関係を知っているようだ。
本当に元あそびにんか?
「キセノン商会に任せっぱなしだと、富の集中が起きるからな。将来を考えると、富の独占は世界の為にならないから、あまりおもしろくない」
「そうですか。やはり、あなたはただの冒険者ではないですね」
「かいかぶりすぎだよ。ただ俺は、平和になった後のことを、少し考えているだけだ」
俺は、ポルトガの宿屋に向かっていった。
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