第3章 交渉魔術王アーベル
第20話 そして、新たな仲間(?)との旅立ちへ・・・
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捨てでかまわないよ」
「では、こちらもアーベルと呼んでください」
ジンクと呼ばれた若者は、俺たちに近づいて話しかけてきた。
「この人は誰?」
「ああ、これからポルトガまで一緒に行く人だ」
「はじめまして、私はジンクです。こちらの可憐なおじょうさん達は」
「テルルよ」
「・・・、セレンです」
テルルとセレンは挨拶をする。
「なるほど、セレンさんですね。あなたがロマリアに訪れるたび、町の男達があなたの事を噂して、「死ぬのなら、あの子のザキで死にたい」とまで言われている」
「そ、そんな」
セレンは、頬を赤くして俯いた。
「セレンはそんなことしないわよ!」
テルルはセレンとジンクの間にはいり、文句を言う。
「なんで、あんたと一緒に冒険するの?」
「そうですよね、テルルさん。私はしょせんお邪魔虫です。ですが、さすがにあなたとアーベルとの仲を邪魔するつもりはございません」
「そうじゃなくて!」
テルルは真っ赤になって怒り出した。
俺はジンクの考えに納得する。
たしかに、パーティの連携が悪くなれば、効率的な戦闘ができなくなり、全滅する可能性が高くなる。
「アーベル、そこで頷かないの!勘違いするでしょ!」
「テルル。パーティの連携を邪魔しないのは、当然だと思うのだが」
「そうじゃなくて」
「さすが、アーベル「きれもの」の特性ですかな」
ジンクはにこやかに俺を誉める。
「俺は自分のことを、普通の魔法使いだと思っているのだがね。賢者にはかなわないさ」
「ご謙遜を。私などただのお調子者ですよ」
「いいのか、王子の性格をばらしても」
「問題ないですよ。この国に住むものはみな、王子様の性格など知っていますから」
ジンクの言葉は事実だ。
俺たちもロマリアに来た初日に、酒場で聞かされた話だ。
しかも何度も。
「それに、賢者といってもレベル1です。出来ることはあなた達の影にいて、自分の身を守ることだけです」
「それでも、俺の盾にはなるだろう。十分役に立つ」
「こちらこそ、身を守るだけでレベルが上がるのは助かります」
「それではいくぞ、セレン、テルル」
「・・・」
「・・・、違うのに、違うのに・・・」
セレンは真っ赤に俯いたまま反応せず、テルルはぶつぶつとひとりごとを繰り返していた。
「新たな仲間ジンクにカンパーイ!」
「自分で言うか?」
「正確には同行者だが」
「細かいことは、気にしない」
テルルと俺の指摘を切り返すと、ジンクは酒を一気に飲み干した。
俺たちは、ロマリアの酒場で話をしていた。
冒険の打ち合わせについてだ。
俺はジンクが俺たちのパーティに加わると思っていたのだが、パーティは組まないで一緒に行動すると言っていた。
俺が詳しく問いただそうとしたのだが、
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