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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第12話 そして、ロマリアへ・・・
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自分に気があるのかと勘違いするのだろう。
俺も前の世界で、痛い目にあったことがある。
さらに言えば、セレン自身に自覚が無いというのも問題である。

それにしても、と俺は考える。
今日はやけに、前の世界の事を思い出すなと。
両親から離れての冒険で、寂しさが募ったのかと自問する。
そうかもしれない。でも、目の前に冒険の仲間がいる。
俺は少なくともひとりではない。

「どうしたの、アーベル?」
セレンは心配そうに尋ねる。
「もしかして、さっきの男にヤキモチでもやいたのかな?」
「違う」
俺はテルルのからかいを否定する。

「つまんないね」
「俺は、テルルの楽しみのために生きているわけではない」
「じゃあ、セレンのためならいいの?」
「まあ、テルルのためよりはいいかもな」

「えっ!」
「アーベル、ひどいよ〜」
テルルは大げさに悲しそうな顔をする。
「ひどいのはそっちだろ。俺が否定しているのに、無視して話を進めるから」
「それぐらいで怒るなんて、どうかと思う」
テルルは頬を膨らませて抗議する。
「怒ってないから」

ため息をついてから俺は、2人に話しかける。
「もう夜も遅い。早く寝よう」
セレンは顔を赤くして頷いている。
ひょっとして、酒でも飲んだのか。
一応この世界では、16歳になれば酒を飲んでも問題ない。
ちなみに俺は、あの日から酒は飲まないことにしている。
「はいはい、おやすみ」
テルルは、心配そうにセレンを見つめる俺に、適当な相づちをうつとそのままベッドに潜り込んだ。



「やはり、そうでしたか」
「ソフィアお嬢様には、くれぐれもよろしくお伝え下さい」
「かしこまりました」
俺は、老婆に礼をいうと家を出た。

母ソフィアはロマリア出身だった。
ソフィアは父ロイズのところに嫁いでから、実家に帰ることがなかったので、祖父のことを気にしていながらも連絡が取れなかった。

そのため、俺は祖父のところを訪ねたが、屋敷は人手に渡ったということで、祖父の消息を調べたところ、母が子どもの頃の世話をしていたという老婆が見つかり、話を聞いていた。

予想通り、祖父は5年前に病気で死んでおり、ソフィア以外に親族がいないため、屋敷が国のものとなり、競売されたのだ。
俺も母ソフィアもアリアハンの国籍なので、いまさら所有権を主張するわけにもいかない。
母は、結婚するときにあきらめていたので、気にしてないとは言っていた。

俺は、セレンと一緒に宿に向かっていた。
昨日一日戦ってみて、このあたりのモンスターは、さまようよろい以外は俺たちの相手ではないことがわかった。
そのため、今日は休んで、明日北に向かうことを決めていた。

休みとなった今日、テルルは、商品を見に行くため、
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