第10話 そして、鍵の入手へ・・・
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とする。
「どうするの、アーベル?」
テルルは俺の考えを見抜いたのか、少しわざとらしい声で尋ねる。
わざとらしい話し方が無ければ、テルルも「きれもの」になれるかもしれない。
「昨日覚えたばかりの、ヒャドを唱えようかなと。ちょうどいい機会が出来て助かったよ。本当はMPがもったいないけど、起きないから仕方ないよね」
テルルはうなずく。
「いくよ」
「待ってくれ、呪文を打たないでくれ!」
老人は飛び起きて答える。
「まったく、老人を永眠させるつもりか」
「お望みであれば」
「望んでおらんわ!」
俺は老人に対して、とうぞくの鍵を貸して欲しい事を伝えた。
「いやじゃ」
「嫌ですか」
「ワシは勇者にこの鍵を渡す夢をみたのじゃ。他の相手には渡せない」
「私に渡すと、勇者に渡せないから、駄目だと?」
「そうじゃ」
原作どおりということか。
「後で渡せばいいじゃないですか」
「なに?」
「私たちは別に鍵をくれとは言っておりません。用が済んだら返します」
「本当か?」
「はい」
「それなら仕方ない」
俺たちは喜んだ。
「じゃが、1人置いてゆけ」
「は?」
「鍵を悪用されては困る。娘のどちらかを置いてゆけ。なんなら、両方でもかまわんぞ」
そういって老人は、セレンとテルルの方を見る。
どうやら老人は、2人のことが気に入ったらしい。
「困りましたね」
俺はそういって、王の命令書を示す。
「王からは、私の冒険を助けるようにという命令書をいただいているのですが。仲間を置いて行けと言うことは、私の冒険を阻害するということになりますね」
俺の言葉に老人は沈黙する。
「そういうことであれば、仕方ありません」
俺は残念そうな顔を作る。
「王に報告しなければなりません」
「なんだと」
「それでは、いったん失礼します」
俺たちは、あきらめて帰ろうとする。
「待ってくれ」
「すぐに戻ってきます。兵士も一緒に連れてきますので」
俺は老人に対して、にこやかに手を振った。
「悪かった。鍵を貸すから。ほれ」
老人は俺に鍵を投げつけた。
「ありがとうございます。すぐにお返ししますので」
俺たちは礼を言って部屋を出ると、キメラの翼を使用した。
「ねえ、アーベル」
テルルはナジミの塔を後にした俺に質問する。
「どうして、あのおじいさんに最初から命令書を突きつけなかったの」
「練習だよ」
「練習?」
俺は、テルルの質問に答える。
「今後ロマリアやポルトガとの交渉に備えて、交渉術を磨かないとね」
「これ以上上手くなるつもりなの?うちのお父さんに負けないだけでもすごいのに」
「キセノンとは顔なじみだから、相手がしやすいだけさ」
俺はまじめにこたえる。
「これからの交渉
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