第7話 そして、交渉へ・・・
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。僕を外せばいいのです」
「交渉責任者であるアーベルを切り捨てれば、テルルとキセノン商会はダメージを受けないということか」
「そうです」
キセノンは質問を続ける。
「なぜ、アーベルは旅を急ぐのだ?」
「早く世界を平和にしたい。では納得できませんか」
「できないね。魔王を倒すことができるのは、勇者だけだ」
勇者でなければ魔王は倒せない。
勇者の一行でなければ、開けることが出来ない宝箱があるという。
その中には、オーブなど魔王討伐に必要なアイテムが存在するのだ。
「魔王が倒されたら、魔物が消えると伝えられています」
俺は、お茶を口に入れ話を続ける。
「そうなれば、冒険者は廃業します。それまでに少しでも金を稼いで、魔法研究の資金に投入するつもりです」
「俺が、資金を提供すると言っても、考えは変えないのか」
何気ないキセノンの言葉だが、普通の人なら、畏怖を覚えるだろう。
キセノン商会を敵に回せる人間など、この大陸にはいないはずだ。
「必ずしも、キセノン商会の利益にかなう研究を行うとは限りませんから」
「そうか。おまえの計画を認めよう」
キセノンはうなずくと、急ににこやかになった。
「アーベル。お前はたいした奴だ」
「?」
「ソフィア以外で、俺と本気で相手にできる奴はいなかった」
そうなのか?ソフィアが話すときは、優しい言葉しか聞いたことがない。
「結婚するまで。いや、ロイズと出会うまでは、お前以上の「きれもの」だったぞ」
「きれもの」だった。ということは。
「この世には性格を変えてしまう本がある」
まさか。
「しゅくじょへのみち?」
「知っているのか、アーベル」
「家にあるので、読んだことがあります」
男なので効果がなかったが。
とりあえず、計画の第一段階は成功した。
しかし、知らない方がよかった秘密を知ってしまったようだ。
「ところで、アーベル」
「なんですか」
「キセノン商会を継ぐ気はないか?」
「は?」
俺は思わず身構える。
「おまけで、テルルを嫁にやってもいい」
「最初の話と、違うようですが」
俺は急に汗をかき始めた。
「あれは冗談だ」
「冗談ですか」
「テルル入ってこい」
キセノンが叫ぶと、すかさずテルルが室内に入る。
「はい、お父様」
「アーベルがお前との結婚を断るそうだ」
「!」
テルルはキセノンと俺とを交互ににらみつける。
「そんなことは、いっていません」
「そうか、結婚してくれるのか。よかったな、テルル」
「よくありません!!」
テルルは大声で叫ぶ。
「あれ、勘違いか。子どものころは「アーベルのおよめさんになる」といつも、・・・」
「子どものときの話です」
「今はどうなのだ」
テルルは急にも
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