第4話 そして、勇者(予定)との出会いへ・・・
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なことより、勇者と呼ばれた子どもの状態確認が先だ。
俺は、子どものところへ向かう。
「大丈夫か?」
俺は勇者と呼ばれた子どもに声をかける。
子どもは少し疲れた様子を見せたが、俺の方を向いて起きあがると何度も元気よく頷いた。
「どうやら、無事だったようだな」
俺は安心したが、遅れてついてきた少女たちの意見は違うようだった。
「なによ」
「助けてもらったのに、お礼もいえないの?」
俺は、無事ならそれで十分と思っていたので気にはしなかったが、子どもの様子の変化に驚いた。
さっきまで喜んでいた子どもは、急に寂しそうな表情をすると、ゆっくりと頭をさげた。
俺は子どもの表情の変化にしばらく考えたが、思いを口にする。
「・・・。ひょっとして、君はしゃべれないの?」
子どもは、突然びっくりすると、おおきく何度も頷いた。
「・・・そうだったの。ごめんなさい」
「ごめんなさい」
セレンとテルルは素直に謝った。二人のこういったところは、誉めるべきところだ。
子どもは、あわてて両手を前に出し、首をぶるぶると振って、気にしていないという態度を示した。
しゃべることができない勇者か。
だからといって、いじめられる理由などない。ひどい話だ。
「さっきの少年たちを知ってるの?」
テルルは子どもに話しかける。
子どもは少し考えてからうなずく。
「アーベルのお父さんは、兵士さんだから教えてくれたら叱ってくれるよ」
子どもは、テルルのほうと俺の方と両方をみてから、首を横に振る。
なぜだ。
こんどはセレンが質問する。
「仕返しがこわいの?」
子どもは首を横に振る。
違うのか、なぜだ。
俺はその子どもを見ながら質問する。
「本当にけがはないのか?」
子どもは、平気な顔をする。
そして、自分が身につけていた服を恥ずかしそうに少し脱ぐ。
「傷がない」
三人とも驚いた。
蹴られた部分の服は汚れていたが、蹴られた体の部分はあざひとつついていない。
どういうことだ?
俺は少し考えて、知っている知識をおもいだす。
「みかわしの服か」
子どもは驚いたようすでうなずいた。
「そういうことか」
「どういうこと。アーベル?」
テルルは俺に質問した。
みかわしの服とは、羽のように軽い糸で作られている服で、敵の攻撃から身をかわす確率が高くなっている。また、防御力は、くさびかたびらよりも高い。
冒険者でもないかぎり、素手ではほとんどダメージを与えられないだろう。
だから頭を中心に守っていたのか。
「すごい。さすが勇者というべきか」
俺は感嘆の声をあげる。
「お父さんなら知っているとおもうけど。さすがアーベルね」
テルルは、アーベルの方を誉めている。
俺は、テルルの声を無視して子
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