第3話 そして、商人へ(違う)・・・
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
転生してから、半年がすぎた。
俺の一日は、ほぼ決まっている。
朝食を食べたあと、お昼まで母親と一緒にすごし、主に勉強をしている。
お昼を食べてからは、夕方まで外で遊ぶ。
最初は母親と一緒だったが、行き先が決まっていたので、今では玄関で「アーベル、気をつけてね」の一言で送り出す。
アリアハンの治安はいいので、子供がひとりで出かけても問題ない。
「ようアーベル。また来たか」
「こんにちは、おじさん」
「こんにちは、アーベル」
「こんにちは、テルル」
俺を出迎えてくれたのは、キセノン商会のキセノン親子だ。
キセノン商会の創設者であるキセノンは、どこかの武器屋のように恰幅がよく、威勢のいい声で、客の相手をしている。
母親のソフィアと一緒に冒険したこともあるそうだが、ソフィアよりも先に冒険者を辞めて、アリアハンに店を構えた。
商売が上手で、頭の回転も速く、一代にしてアリアハン大陸内で、多くの流通を担うようになる。
大商人となったあとも、最初に開店した店で、必ず客の相手をしている。
後から聞いた話だが、現場の感覚を忘れると、商売は上手くいかなくなるという、信念にしたがったためだそうだ。
一人娘のテルルは、俺と同じ6歳であり、家も近所ということで、一緒に遊んでいた。
テルルは最初、俺の変化に気がついたようだが、しばらくすると、いつもどおりに遊んでいた。まあ、俺はこれまでのことは知らないのだが。
俺は、商人の勉強が必要だと考えていた。
勇者であるオルテガの息子(名前はわからない)は、俺より2歳年下だ。
将来、勇者が世界を平和にしたら、その後は商人の時代だ。
準備をするなら、早いほうがいい。
この世界の経営学の水準がどの程度であるのかわからないが、前の世界ほどシビアではないだろう。
少なくともアッサラームの商人が生活できることを考えれば。
ただ俺は、前の世界で、普通科の高校を卒業後すぐに公務員になったため、複式簿記を始めとする経理や経営の知識は詳しくない。
水道局や市立病院は、企業会計を使っていたので、これらの経営会計担当なら、経理経営の知識を習得する機会もあったかもしれないが、残念ながら異動したことはなかった。
キセノンは俺が店に顔を出すことについて、始めはあまり良い顔をしなかった。
俺が遊びに来て一人娘のテルルの相手をすること自体は、問題ではなかったが、店は子どもの遊び場ではない。
俺もそのことは理解しているので、
お客が来たらあいさつをする。
お客から聞かれないかぎり、こちらから話しかけない。
店の商品をさわらない。
テルルが騒ぐようなら、一緒に外に出て遊ぶ。
この四つを守った結果、今では、キセノンも俺が店に来ることを喜ぶようになった。
テルルも俺
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ