第2話 そして、決意へ・・・
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たときに、気をつけなさいといったけど、外に出て遊んでもいいのよ」
「でも、おかあさんに教えてもらいたいし」
「まあ、アーベルったら」
ソフィアはまんざらではない様子で返事をしたが、急にまじめな顔になって、しっかりと俺の前を向いて話し出す。
「無理をしなくてもいいのよ。アーベルはアーベルのままで良いのだから」
「!」
俺が転生したことを知っているのか。
それでも俺は、ソフィアの真剣なまなざしをそらすことをしなかった。
おれの頭の中で、考えが続く。
もし、俺がアーベルではないと知ったら、ソフィアはどう考えるのか。
目の前にいる息子だったアーベルは、アーベルではない別の魂を持っている。
ソフィアは、それでも自分の息子として考えるだろうか?
まず、無理だろう。
そして、親子両方にとっての悲劇になるだろう。
ソフィアには、絶対に知られてはならない。絶対に。
「どうしたの、アーベル?」
「今日は遊びに行ってくる」
俺は、立ち上がると玄関までかけだした。
「晩ご飯までに帰るのよ」
「うん」
「気をつけてね」
「うん」
俺はそういって、ソフィアの顔を見ないまま外に出た。
俺は、誰もいないところで泣いた。
この日、俺はアーベルとして生きていくことを決意した。
この世界に来るまでの俺は、死んだのだ。
泣きながら俺は、かつて自分がなきむしだったことを思い出していた。
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