第1章 始まりの終わり
第1話 そして、転生へ・・・
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「アーベル!」
「アーベル!」
ふと、目が覚めると、目の前に見知らぬ男女が、俺に声をかけている。
しかし、アーベルとは誰のことだ?
俺が目覚めたことに気付いた二人は、喜びの声を上げる。
「無事だったのね、アーベル!」
「心配したぞ!」
心配してくれるのはいいけど、誰だろうこの人たち。
お礼をいうために、起きあがろうとするとめまいがした。飲み過ぎたせいか?
頭をおさえる俺をいたわるように、二人は
「無理はしないで、ゆっくり休むの」
「まったく、おとうさんを迎えに行って堀に落ちるとは、アーベルはうっかりものだな」
おとうさんだと・・・。
俺はあわてて、おとうさんと自称する男の方を向く。
昔の西洋風の服を着た男は、自分と同じぐらいの年齢、いや少し若いか。なぜ俺はこの人を「おとうさん」と呼ばないといけないのか?
と、自分の姿を見て驚く。
「!」
おかしい、手足が短い。
まるで子供ではないか。
「な、なんだこりゃー!!」
自分の姿の変化に驚き、あわてて体を起こそうとする。
「どうしたの。アーベル!」
「動くんじゃない。アーベル!」
二人の男女に体を押さえつけられ、子供の力しかない俺は、動くことができない。
俺がなおも手足をバタバタし、叫ぶ様子を見て、男は女に合図を送る。
様子を察した女は、俺の額に右手をあてる。
俺よりも若い(?)女性のやわらかい手が額にふれて、俺は思わずあたたかいなと手足を動かす力を弱めてしまった。
女性は、俺を優しそうに見つめながら、一言つぶやく。
「ラリホー」
俺の頭に突然の睡魔が襲う。
ばたついた手足の動きが止まる。
どこかで、聞いた言葉だと思いながら、俺の力は抜けてゆき、安らかに眠っていく・・・
再び、目が覚めると、俺は周囲を見渡す。
6畳程度の木造の部屋。映画などで見た、昔の西洋風の部屋みたいだ。
部屋には、俺が寝ているベッドと、その隣に木でできた椅子で寝ている女性。そして、木製の温かみの感じられる家具がある。
女性は見たことのない言葉で書かれた本を膝の上に置いている。
俺は今自分が居る場所を考える。
日本語は通じるようだが、ここが日本国内かと言われると少し怪しい。
俺は、少し落ち着きを取り戻したことを自覚しながら、これまでのことを思い出す。
「お先に失礼します」
「ああ、お疲れ。今日はがんばれよ」
「・・・。友人の家に行くのに、何をがんばれと?」
俺は、先輩の激励に質問で答えると、先輩は残念な声を出す。
「お前、今日が何の日かわかっていて、質問しているのか」
「わかっていますが、だからといって何をがんばればいいのですか?」
「あー、やだやだ。お前さっさと帰れ」
「そうし
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