暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
うのであれば、作るしかないな」
「製法をご存じなのですか? その、特別な酒の」
「特別ではないが。ただ、再現できるかどうかはわからぬが」

 私が知るのは、自家製のどぶろく。
 これを濾過すれば、清酒に近い物は作れるやも知れぬ。

「土方様! お願いでございます、是非、その製法をお教え下さいませ!」

 蘇双は、縋り付かんばかりに頼み込んできた。

「手前からも、お頼み申します。蘇双は信頼できる男、決して他言はしないと、手前が請け合います」
「なあ、歳っち。その酒、ウチも飲んでみたいわ」

 ふっ、三対一か。
 隠し立てする類の物ではないし、張世平には恩もある。

「良かろう。ただし、原料や水、気温などに左右される類の物だ。私が思い描く物が出来上がるとは限らぬぞ?」
「構いません! 何年かかろうとも、やり遂げて見せます。これは、手前の商人としての意地でございます」
「わかった。ならば、製法を伝授致そう」
「あ、ありがとうございます!」

 飛び上がらんばかりに喜ぶ、張世平と蘇双。

「なあなあ、利き酒はウチにもさせてえな?」
「無論だ」
「よっしゃ! 歳っち、ホンマに話がわかるわぁ♪」

 ……それは良いが、二人の前で無闇に抱き付くのは、如何かと思うぞ?



 この話は、何故か広まってしまったらしく。
「主。酒の話に、私を除け者にするとは、あまりにも惨いですぞ!」
 機嫌を損ねた星を宥めるのに、随分と手間取る羽目に陥った。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ