第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
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あたふたとしている。
「そうだ。お前も将なのだ、誤りを恐れず、思うところを述べるがいい」
「……わかりました。公孫賛殿、黄巾党は我らを恐れている。そう申しましたな?」
「ああ」
「ならば、貴殿の軍は如何です?」
「私の軍か? そうだな、官軍は官軍、恐らくは侮られているだろうな」
「では、黄巾党を、公孫賛殿の軍勢だけで攻めた、とすれば?」
「……あ。そうか、立て籠もっている黄巾党が、出てくる……か?」
「そうです。野戦となれば、数の優劣よりも、今度は兵の質で勝負が出来ましょう」
合点がいったようで、公孫賛は微笑を浮かべた。
「ご主人様。これで、宜しいでしょうか?」
「合格だ、愛紗。鈴々も、わかったか?」
「わかったのだ。公孫賛のお姉ちゃんの旗だけを立てて、黄巾党に向かって、鈴々達は隠れていればいいのだ」
ホッとした表情を浮かべながら、鈴々の言葉に頷く愛紗。
「しかし、主。黄巾党とて、我らの着陣は聞き及んでいましょう。誘いに乗らぬ場合は如何なさいます?」
うむ、良い傾向だ。
将が皆、意見を述べぬ軍議など、軍議に非ず。
「霞、どうか?」
「ウチか? せやなぁ……一つだけ、思いついた手はある」
「なら、それを皆で詰めるがいい。その二段構えで良かろう」
「おいおい、内容を確かめないのか?」
「公孫賛。これが、我が軍の流儀だ。心配せずとも、皆を信じるのみ」
「そ、そんなものか……」
今ひとつ、公孫賛は釈然としないようだ。
「ふむ、心配か?」
「い、いや……。ただ、あまりにも大胆なので戸惑っているだけだ」
「貴殿にも、いずれわかる筈だ。霞、頼むぞ?」
「任せとき♪」
公孫賛から借りた部屋で、書簡に目を通している最中。
「土方様。お目通りを願う者が参っております」
我が軍の兵士が、そう告げに来た。
「私にか?」
「はい。張世平、と名乗っておりますが」
「ほう」
無論、その名を忘れる筈もない。
「わかった。此処……いや、私から出向こう。案内を頼む」
「宜しいのですか?」
「ああ」
如何に個室とは言え、借り物の場であまり、尊大に振る舞うべきではない。
公孫賛ならば何も言うまいが、他の者まで同じ……とは限らぬからな。
「では、こちらへ」
「わかった」
読みかけの書簡を閉じ、私は席を立つ。
……と、戸口に人影が見えた。
「あれ、歳っち。どこか行くんか?」
「霞か。私を訪ねてきた者がいるのでな、会いに出向くところだ」
「せやったら、また後の方がええな。出直すわ」
「待て。霞は、張世平と面識はあるか?」
「張世平……? それ、馬商人ちゃうか?」
「そうだ。どうやら、私を訪ねてきたらし
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