第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
将が好き勝手を言わず、上将の命で動けるのは大したものですぞ?」
落ち込む公孫賛に、星が声をかける。
そう言えば、本来であれば星は公孫賛の客将、となっている筈であったな。
巡り合わせとは言え、奇妙なものだ。
「せやせや。この幽州を、アンタだけでここまで守り抜いたんや。他のアホ共やったらこうはいかへんかった思うで?」
「そうですよ、自信を持って下さい、公孫賛殿。及ばずながら、我らも尽力します」
「あ、ああ。……少しは自信持ってもいい……のか?」
「少し、ではなく胸を張って構わぬと思うが。貴殿は、見事な将であればこそ、この状況で太守を勤め上げていられるのだろう」
「そ、そうか? な、なんか照れるな」
漸く、公孫賛は顔を上げた。
今少し自分に自信を持てば、更に良き将になるであろうが……よほど、酷評ばかり受けたのであろう。
尤も、実力の程は、今に判明するであろうが。
「ではでは、話を戻しますねー。黄巾党は三万五千と見積もるとして、率いている者はわかりますか?」
「えっと、何儀と劉辟……だな。渤海と平原の間あたりに、山塞を作って立て籠もっているらしい」
「公孫賛殿。黄巾党攻めに出せる軍勢は、どのぐらいでしょうか?」
稟の問いかけに、腕組みをして考え込む公孫賛。
「そうだな……。五千がやっと、だな。烏丸の備えもあるし、黄巾党以外の盗賊にも対処が必要だからな」
「十分でしょう。それ以上無理をすれば、治安だけでなく、補給面でも不安が出ますからね」
「でも、合わせて二万五千。一万、足りないのだ」
「鈴々の申す通りです。立て籠もる相手に、兵数が劣るとなると……厳しいですね」
「しかも、攻めかかるのが、各地で黄巾党討伐に成果を上げている軍となれば、尚更だろう」
何気なく呟いた、公孫賛の言葉。
その刹那、脳裏に閃くものがあった。
「公孫賛。今、何と言った?」
「え? いや、董卓軍と土方の義勇軍は、黄巾党に恐れられているって」
「……ふむ。それで行こう」
「は? お、おい、どういう事だ?」
「ははーん。ウチ、歳っちが何を考えとるか、わかったわ」
真っ先に反応したのは、霞だった。
「なるほど。その手がありましたか」
「流石はお兄さんですねー」
軍師二人も、すかさず頷いた。
「だから、何をどうするって? 勿体ぶらずに、教えてくれよ」
「公孫賛殿。貴殿の言葉に正解があるのですぞ?」
「……そういう事か、星。私にも、わかった気がする」
「にゃ? 鈴々にはさっぱりなのだ」
「そ、そうだ! 頼む、教えてくれ」
……当の本人と鈴々には、説明が必要か。
「では愛紗。説明してみるがいい」
「わ、私ですか?」
稟か風が指名されると思ったのか、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ