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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
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将が好き勝手を言わず、上将の命で動けるのは大したものですぞ?」

 落ち込む公孫賛に、星が声をかける。
 そう言えば、本来であれば星は公孫賛の客将、となっている筈であったな。
 巡り合わせとは言え、奇妙なものだ。

「せやせや。この幽州を、アンタだけでここまで守り抜いたんや。他のアホ共やったらこうはいかへんかった思うで?」
「そうですよ、自信を持って下さい、公孫賛殿。及ばずながら、我らも尽力します」
「あ、ああ。……少しは自信持ってもいい……のか?」
「少し、ではなく胸を張って構わぬと思うが。貴殿は、見事な将であればこそ、この状況で太守を勤め上げていられるのだろう」
「そ、そうか? な、なんか照れるな」

 漸く、公孫賛は顔を上げた。
 今少し自分に自信を持てば、更に良き将になるであろうが……よほど、酷評ばかり受けたのであろう。
 尤も、実力の程は、今に判明するであろうが。

「ではでは、話を戻しますねー。黄巾党は三万五千と見積もるとして、率いている者はわかりますか?」
「えっと、何儀と劉辟……だな。渤海と平原の間あたりに、山塞を作って立て籠もっているらしい」
「公孫賛殿。黄巾党攻めに出せる軍勢は、どのぐらいでしょうか?」

 稟の問いかけに、腕組みをして考え込む公孫賛。

「そうだな……。五千がやっと、だな。烏丸の備えもあるし、黄巾党以外の盗賊にも対処が必要だからな」
「十分でしょう。それ以上無理をすれば、治安だけでなく、補給面でも不安が出ますからね」
「でも、合わせて二万五千。一万、足りないのだ」
「鈴々の申す通りです。立て籠もる相手に、兵数が劣るとなると……厳しいですね」
「しかも、攻めかかるのが、各地で黄巾党討伐に成果を上げている軍となれば、尚更だろう」

 何気なく呟いた、公孫賛の言葉。
 その刹那、脳裏に閃くものがあった。

「公孫賛。今、何と言った?」
「え? いや、董卓軍と土方の義勇軍は、黄巾党に恐れられているって」
「……ふむ。それで行こう」
「は? お、おい、どういう事だ?」
「ははーん。ウチ、歳っちが何を考えとるか、わかったわ」

 真っ先に反応したのは、霞だった。

「なるほど。その手がありましたか」
「流石はお兄さんですねー」

 軍師二人も、すかさず頷いた。

「だから、何をどうするって? 勿体ぶらずに、教えてくれよ」
「公孫賛殿。貴殿の言葉に正解があるのですぞ?」
「……そういう事か、星。私にも、わかった気がする」
「にゃ? 鈴々にはさっぱりなのだ」
「そ、そうだ! 頼む、教えてくれ」

 ……当の本人と鈴々には、説明が必要か。

「では愛紗。説明してみるがいい」
「わ、私ですか?」

 稟か風が指名されると思ったのか、
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