第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
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えた民を見かけた」
「……そうなんだ。私もわかってはいるのだが、この北平を維持するのが精一杯の有様でな。文官でもいればいいのだが、こんな辺境の地まで来るような者はいないらしい。全く、人手不足って奴は厄介さ」
溜息をつく公孫賛。
「……苦労しとるようやね、アンタ」
「……ああ。正直、猫の手も借りたいのが現状なんだ」
「ならば、尚更、黄巾党は早めに片付けねばならんな」
「そうだ。鬼の率いる義勇軍が来た、って知れば連中の士気も下がるだろう。期待してるぞ?」
おかしな二つ名はともかく、期待には添わねばなるまい。
少なくとも、誠実、という噂に違わぬ人物のようだ。
全てを一人でこなしている現状、飽和しているだけで、上に立つ者としての器量は備えていると見た。
「では、早速軍議に入りたい。城外にいる、我が軍の者を呼びたいのだが、宜しいか?」
「勿論だ。宿舎、と言える程の物は用意できないが、何とか野営しないで済むよう、手配はさせる」
「忝い」
私は、早速知らせようと踵を返した。
「ああ、待て。呼びに行くのなら誰かを遣らせよう」
公孫賛が、慌てて呼び止める。
「いや、結構。我が軍は、皆仲間だと思っている。その仲間に、手間を惜しむ真似はしたくないのだ」
「歳っちは、こういう性格ちゅう訳や。好きにさせたってえな」
「そ、そうか。悪かったな、余計な気を回して」
「いや。配慮、感謝する。では後ほど」
さて、待っている皆のところに急ぐとするか。
数刻後、主立った者を連れて北平に戻った。
簡単に自己紹介を済ませた後、直ちに軍議に入る。
「数日前に探らせたんだが、今この辺りにいる黄巾党は、総勢で三万から三万五千、というところらしい」
公孫賛の言葉に、皆の表情は険しくなる。
「どうやら、増えてしまったようですねー」
「そうですね。残党が合流している、と見ていいでしょう」
「ん? どういう事だ?」
事情を知らぬ公孫賛一人、不思議そうな顔をしている。
「実は、黄巾党の動きは逐次、探らせているのだ。特に、この風が中心となってな」
「ふえー、本当に土方のところ、義勇軍なのか?」
「率いる私が無位無冠なのだ、そう言わざるを得まい?」
「けどさ、張遼。官軍でも、ここまでやっているところ、他にあるか?」
よほど驚いたらしく、やや興奮気味のようだ。
「う〜ん、そもそも官軍でまとも、ちゅうんは……。曹操はんとこと、孫堅はんとこ、後は皇甫嵩はんところぐらいやろうけど。朱儁はんところは、部下が木偶の坊ばっかやしなぁ」
「う……。ならば、私のところも同じではないか……」
「いや、公孫賛殿? 貴殿の軍は、ざっと見た限りでも、十分に統制が取れている。諸
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