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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十七 〜白馬将軍〜
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お運びを、との事です」
「よっしゃ。ほな歳っち」
「うむ、参ろう」

 そのまま、軍勢を率いて、城門を潜る。
 流石に、ここまでの村々とは違い、多少は活気があるようだ。

「霞。他の城と比べて、どんな印象だ?」
「うーん、せやなぁ。可もなく不可もなく、ちゅう感じはするな。そりゃ、洛陽と比較する方が間違いやけど」
「私は、晋陽と薊しか知らぬが……。晋陽の方が、些か活気があった気がする」
「そら、月は今の朝廷の中でも、ホンマ優秀な方やで? 公孫賛はんには悪いけど、比べたら悪いわ」
「フッ。では、私はとんでもない娘を持ってしまった、という事になるな」
「あったり前やろ? まぁ、心配せんかてええで。歳っちと月、似合いの父子や思うしな」
「精々、娘に嘆かれぬようにするか。お、着いたようだな」

 すれ違う兵士の顔つき。
 朱儁軍のそれよりは、かなり引き締まっているようだ。
 公孫賛のところには人材なし、と聞いているが……ふむ。

 そして、謁見の間。

「よく来てくれた。私が北平太守、公孫賛だ」

 半ば予想はしていたが、やはり女子(おなご)であった。

「ウチは、中郎将董卓の将、張遼言いますねん。よろしゅう頼んますわ」
「私は義勇軍を率いる、土方と申す」
「ああ、そんなに堅いのは止そう。……しかし、アンタが土方か」

 公孫賛は、興味深げに私を見る。
 この時代の英傑は、ざっくばらんな人物が多いのだろうか?
 ……まぁ、本人が良いというのだ、こちらも普段通りにさせて貰うとしよう。

「私の顔に、何か?」
「いや、『鬼の土方』って言われている義勇軍の指揮官がいる、って聞いていたからな。どんな豪傑が来るんだろうと思っていたんだ」

 ……何だ、その二つ名は?
 どうやら、黄巾党に執った処置が、おかしな広まり方をしたようだな。

「へえ、歳っちが鬼、か。けど、公孫賛はんまでご存じやったとは思わへんかったな」
「私も黄巾党が暴れ出してからは、ずっと此処から動けていないが。少なくとも、黄巾党の間ではそう言われているらしいぞ?」
「望むところ、と言っておこうか。公孫賛、でよろしいか?」
「ああ。張遼も、それでいいからな」

 霞が頷いたのを確かめてから、私は続けた。

「わかった。では公孫賛、既に私の事は知っているようだが、我らは苦しむ民を見かねて立ち上がった義勇軍。ここにいる張遼共々、黄巾党と戦う貴殿の助太刀に参った次第」
「有り難い。ここはただでさえ、北方の烏丸に警戒していないといけない立地だと言うのに、この上黄巾党では、と手を焼いていたところなんだ。おまけに刺史が不在で、全てを私一人で応じろというのは、無理な話さ」
「領内の民も、だいぶ困窮しているようだな。村々で、数多くの飢
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