第二十九話
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房だけが額にかかっている。
レックスだわな。
「おい、そこのお前、俺と部屋を代われ。アゼルとは俺が暮らすんだからな」
「だめだよレックス、決まりごとは守らないとぉ」
「いいんだよ。オヤジに頼めばそんなものいくらでも書き替えてくれるさ!オラ、お前ははやくどけよ。隣の隣の部屋だからな」
「…アゼル公子の仰せ、貴公の耳には届きませんでしたかな?それと、わたしはお前では無く、レンスターのミュアハと言う者だ、…言わせてもらうが軍とは上意下達が原則、いまだ内地の兵営とはいえ所属の命令を無視しては組織として立ち行かなくなるものだ」
「何度も同じことを言わせるな! レンスター?どこの田舎だ?いまだに麦だの牛だの飼ってるような底辺国か?誉れ高きグランベルにそんな奴らが入ってくるとは世も末だな」
「我が故郷への侮辱、場所が場所ゆえ聞き逃してやってもいい。だが一つ問うておくか、食糧生産に携わる者をそう低くみるのならば汝が日頃喰ろうておる食物、それを生み出した底辺の者無くば命を繋ぐことも叶わぬ汝は底辺以下にあるまいか?」
「ほぅ、俺に意見するとはいい度胸だ。そこになおれ!」
レックスがそう言うと、俺は腕組みをして足を開き心持ち顎を持ちあげ見下ろすような姿勢を取ってやった。
心持ち俺の方がレックスより背が高いので少しはサマになっていただろうか?
止まって見えると言っても良いだろう、鈍いが当たるとやはり痛みはそこそこある拳をわざと喰らってやった。
気張って立ってやったがそんな必要も無い打拳であり、バランス一つ崩さないままの俺を見て、レックスは俺を睨みつけた。
「先に手を出したのはお前だ、そして宿舎のきまりごとを破ろうとしたのもお前だ、さて、ギャラリーの皆さまにご裁定いただこうか」
騒ぎを聞きつけて周囲の部屋の者たち、それを引率していた宿舎の職員らが集まっていた。
……職員室に呼ばれるとか懐かしいことをやっちゃいましたが、俺は悪くない…はず!
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