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〜烈戦記〜
第一話 〜門出〜
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ーギャー騒いだ後。

『お前なんかどこにでも行っちまえ!!バーカ!!』

を最後に涙目になりながら彼は逃げて行った。
僕は子供三人に羽交い締めにされながら勝利を噛み締めていた。

『ふんっ、どうだ!!』

周りの子達からため息が漏れる。

『…豪帯ちゃん、大人気ないよ』
『だってあいつすぐ突っかかってくるもん』
『遼ちゃんも悪気がある訳じゃなくて、寂しいんだと思うよ?』

少し頭を冷やしてみる。
確かに大人気なかったかもしれない。

『…なんかごめん』
『ううん!!また村に来たら仲直りできるよ!!』
『その時は遼ちゃんも混ぜてまた遊ぼうね!!』
『お前ら…』

目尻が熱くなるのがわかった。
やはり僕自身も寂しいのかもしれない。

『お前らも仲良くやれよ!!』
『うん!!バイバイ!!』
『またね!!』

別れを告げて馬に近寄る。


そして気づいてしまった。

今自分がどういう状況なのかを。


『…ん?豪帯ちゃん?』
『どうしたの?』

冷や汗が背中を流れる。
そう、この子達はまだ僕が馬に乗れない事を知らないのだ。
馬に乗れなくて凱雲に乗せてもらう所なんてカッコ悪くて見せたくない。
しかも今感動の別れを告げたばかり。
それだけはどうしても避けねばならない。
僕は必死に頭をフル回転させた。

が、良い案が浮かばない。
万事休すである。
幸いあいつには見られてはいないが、恥は恥である。
僕は一息ついて覚悟を決めた。

『豪帯様、参りましょう』
『…うん。がい…あれ?』

僕が声をかけようとすると凱雲は既に馬を降りており、手綱を渡すとそそくさと歩き始めていた。
最初は意味がわからなかったが、意図を理解する。
…なんて頼もしいんだ!!

『じゃあな!!みんな!!』

そう言って僕は凱雲の後を追った。
その後少し歩いた辺りで馬に乗せてもらい、無事窮地を脱する事ができた。
感謝の気持ちを伝えると凱雲は"いえ"と簡素に答えた。


ただその後に言われたのは"もっと大人になりましょう、みっともない"との事だった。



県庁に着く。
そんなに離れた場所には無いのだか、子供達との一悶着あって既にお昼に差し掛かっていた。
しかし、逆にそれ以外道中では何も無く、もっと色々な人から別れを告げられるものだと思っていた分少し残念ではあった。
きっとみんな忙しいんだ。
そう自分に言い聞かせた。

コンコン

戸を叩くと中から返事が返ってくる。
そして中に入った。

『おぉ、豪帯か。それに凱雲様、お疲れ様です』
『いえ。そんな硬くなさらずに県長殿』

それから僕と県長さんは父さんと県長を変わった当初の事や顔を出した時の話、
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