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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 後
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に用件を聞くのは間違っているとは思っている。だが、エイミィさんの声からは、焦りの色が色濃く見えた。もしも、これが演技なら脱帽ものだが、短い付き合いからも彼女は人をからかうことは好きだが、騙すことは嫌いだということがわかっている。

 つまり、本当にこれは彼女たちに予想外のことだったと考えるべきだろう。

『今、その空間は封時結界で包まれているんだけど、その中に取り残されちゃった人がいるの』

「まさか、僕に助けに行けって言うんですか?」

 僕の問いにエイミィさんは無言だった。ここでの無言は肯定と捉えてもいいだろう。

 しかし、おかしい話である。どうして、僕に頼むのだろうか。僕が戦力外で手が空いているというのは確かに事実かもしれないが。

「それは時空管理局のお仕事じゃないですか」

『そうなんだけど、今、そっちに手が回せる人員がいないのっ! だから、ごめん。翔太くん、お願いできないかな?』

 これをうそと見るとか、真実と見るか、僕には判断がつけられなかった。僕が持っている情報が少なすぎるのだ。心情的には、一度騙されている以上、嘘だという可能性が排除できない。しかし、もしも、本当だったら……いや、もしも本当だとしても、それ自体が罠だったりしたら。

 僕の状態が疑心暗鬼であり、まずい状態だということはわかっている。しかし、それでも疑ってしまうのは仕方ないだろう。

『それに、言いにくいんだけど、取り残されているのは……アリシアちゃんとその友達みたいなんだよ』

「うそでしょっ!?」

 思わず驚きの声を上げてしまった。

 くそっ! と僕は心の中で舌打ちした。なぜなら、アリシアちゃんと彼女の友人というのであれば、巻き込まれたのが誰だか判断できたからだ。今日は塾がない日だ。そういう時は大体、アリシアちゃんはアリサちゃんとすずかちゃんと一緒に帰っている。ならば、アリシアちゃんが確認できたなら、巻き込まれた友人というのはきっとその二人だ。

 これでは、エイミィさんの言葉が嘘か真実かなどとを考えている暇はない。これが罠だとか考えている暇はない。彼女たちがこの空間にいる以上、僕が動かないわけが行かなかった。これも策略か、と時空管理局への疑念は強くなってしまったが。

「エイミィさん、場所を教えてくださいっ!!」

『ありがとうっ! 今、S2Uに座標を送ったから。出口までの転送はこっちからサポートするよっ!』

 僕はコートのポケットに入れていたクロノさんから借りているS2Uを取り出した。

「S2Uっ! セットアップ!」

 僕の声に反応してS2Uは黒いバリアジャケットを展開する。バリアジャケットの形はクロノさんのをそのまま受け継ぐ形になってしまい、僕としても万が一を考えていなかったため
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