A's編
第三十一話 前
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だ。しかも、現実味のある臓器ではない。魔法という架空の臓器だ。全身から痛みが走るようで、胸に鈍痛が走るようでもある。
それがどれだけ続いただろうか。長かったような、短かったようなよくわからない時間間隔だ。しかし、不意にプツンと痛みの連続が切れたと思うと、バインドから解放され、もはや立つ気力もなかった僕は、バタンと倒れこんでしまった。下がコンクリートなだけに痛かったが、それよりも外部によって冷やされたコンクリートの冷たさが気持ちよかった。
「ショウくん! 大丈夫―――ひっ!?」
はやてちゃんが駆け寄ってこようとしたのだろう。だが、その直後に悲鳴のようなものを上げていた。生憎ながら、僕は立ち上がることができずに地面しか顔を横に向けるぐらいしかできないため、彼女が何におびえているかわからない。
「さて、翔太くんの魔力も無事に取り出せたことだし。八神はやてさん……そろそろ、この世からのお別れを済まそうか」
―――それはどういう意味だ?
僕はもはや動かない口を動かすことなくクロノさんの言葉の意味を問う。それははやてちゃんも同じようだ。僕と同じようなことを聞く。
「簡単な話だよ。君ごと闇の書を封印する。まあ、君が元気なままだと封印の強度もかなりの強さが必要だから、死ぬような大けがを負った状態で封印されてくれるとこちらとしては助かるんだけど」
まるで、ドラマの筋書きを話すように愉快気に話すクロノさん。
「な、なんやそれっ!」
「……なにって、君が知りたがった真実だよ。僕たちも翔太くんも最初から闇の書だけを封印するつもりなんてなかったんだよ。君ごと一生―――いや、この場合、目覚めることはないから永久に封印するつもりだったんだよ」
嘘だ。僕はそんなことは知らない。
「い、いややっ!」
当たり前だ。そんなことを承諾できるはずはない。
「まあ、君が拒絶するのは勝手だけど………はい、そうですか、なんてやめるわけないよ」
ざっ、とクロノさんの靴が動いたのがわかった。同時に一歩分、きぃとはやてちゃんの車椅子が動いたのがわかった。
「大体さ、君も愚かだよね」
くすくす、とクロノさんが嗤う。愚か者を、道化を、ピエロを笑うように嗤う。声だけでそれがわかるほどに嗤っていた。
「家族が全員いなくなって傷心中の少女の元に、少女が持つ病気を治せる魔法をという手段を知っている少年が出会うなんて漫画か小説にしかないようなことを疑うことなく信じてるんだから」
「ど、どういう意味や?」
「君は、今までのことが全部偶然だと思っていたの? だとすれば、本当に夢見る少女だったたんだね」
先ほどよりも嗤いを強くして、さらにはやてちゃんに近づく。はやてちゃんはもはやクロノさ
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