A's編
第三十一話 前
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しかしながら、その様子を見ていたクロノさんの意地の悪い笑みがひどくイラッとさせた。
さて、それから三日。すっかり体力的には回復したはやてちゃん。僕も今日の最後の始業式を終えてはやてちゃんの家にお邪魔した時にはすでにクロノさんがいた。いよいよ、闇の書を封印する、ということを告げるために。
そして、案内されているのはどこにもテナントが入っていない廃ビルともいうべき建物である。そこに無断で入った僕たちは屋上を目指して階段を上っている。許可なく建物に入っている罪悪感と何も説明されずに向かっているという不安からはやてちゃんの表情が曇っているのを確認した僕は安心させるように手を握り、一歩一歩屋上へ向けて歩いていた。
そして、六階分の階段を上った先には鉄の扉があった。もちろん、誰も使っていない以上、悪用されないように施錠はされていたのだろうが、そんなものは魔法の前には無意味だった。
ぎぃ、という鉄がきしむ音がして屋上への扉が開かれる。
地上よりも空に近いその場所は、コンクリートとフェンス以外何もなく、空は天気予報が告げたように今にも天気を崩しそうな曇り空が広がっていた。
僕たちが先に屋上に入り、クロノさんがドアを背にして対峙する形となっていた。
「クロノさん、そろそろ教えてくれませんか? これからどうやって闇の書を封印するんですか?」
クロノさんが右手に抱えている闇の書を見ながら、クロノさんに問う。今日の目的はそれの封印のはずだ。今までそのために僕は協力してきたのだから。ちなみに、僕は具体的な方法は聞いていない。昨日、「明日決行だよ」としか聞いていない。
「うん、そうだね、説明しないといけない―――ねっ!」
その瞬間、クロノさんの右手が動いた。魔導書という言葉に恥じず、空中で制止する闇の書。そのページが自動的に開かれる。パラパラとめくられるページ。だが、あともう少しというところでぴたりと止まる。そのページにはおかしいことに何も書かれていない。今までのページには読めないが、何かかが書かれていたというのに。
「クロノさん……それはいった―――うっ!!」
突然、胸に走る激痛。しかし、僕がそれで胸を抑えることはできなかった。なぜなら、同時に僕はクロノさんのバインドによって縛られいたからだ。
「ショウくんっ!?」
はやてちゃんの驚いた声が聞こえる。しかし、激痛のあまり、何も返事することはできない。やがて、僕の胸から白い水晶のようなものが輝きながら飛び出してきた。これがリンカーコア? と思ったのは僕の直観だ。それを認識した直後、リンカーコアから闇の書に向かった何かが流れ込む。
「ぐぁぁぁぁぁぁっ!」
そのときの激痛は筆舌にしがたい。何せ、内部からいじられるの
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