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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 前
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助かったのかもしれない。

「ところで、誰からこの方法を聞いたの?」

 僕は、手紙を改めて示しながら聞いた。これは問いただしたいのではなく、純粋な興味だ。

 この行為が何かしらの意味を持つことにアリサちゃんは気付いていないようだ。ならば、誰かからの入れ知恵があると思ったからだ。犯人探しのつもりはないが、こんな愉快なことをする人のことを知りたかった。

 しかしながら、返ってきた答えは意外な人物名だった。

「ママよ。ショウと話したかったら、この方法が確実だからって」

 梓さんか……。

 アリサちゃんからその名前が出てきて、僕はどこか納得していた。あの人がお茶目な一面があることは知っていたが、まさかこんな方法をとってくるとは。梓さんのことだから、僕が気付くこともなんとなく想像できているのだろう。あるいは、気付かなくても、将来、笑いネタにできる思い出に、程度には考えていたのだろう。

 つまり、僕とアリサちゃんは梓さんの掌の上で踊っていたのだ。

 僕は、その考えに至って、大きくため息を吐いてしまった。

「あ、あのっ! ショウ!!」

「ん? なに?」

 どこか、あわてた様子で僕に話しかけてくるアリサちゃん。彼女がこの方法をとってまで僕と話したかった理由を考えると僕が大きくため息を吐いたのを見て不安になったのかもしれない。しまった、とは内心思いながらも僕は、あわてて笑みを作り彼女に応える。

 僕の想像が正しかったのか、彼女は僕の笑みを見てほっとしたような表情をして、その口を開いた。

「埋め合わせなんだけど、クリスマスの予定は空いてるんでしょうね?」

「―――うん、今のところ空いてるよ」

 闇の書はイヴの夜には封印できるらしいので、クリスマスの25日は空いていると言えば空いているだろう。我が家は日本人らしくクリスマスにはケーキも食べるし、初もうでにも行く。クリスマスを特別に重視ししてるわけではないので、何か用事を入れることは可能だ。

「だったら、あたしの家のクリスマスパーティーに来なさいよっ!」

「……いいの?」

 僕は彼女の提案に思わず聞き返していた。

 彼女の父親―――デイビットさんは、アメリカ人だ。クリスマスはミサに行ったり、家族水入らずで過ごしたりすると聞いていたのだが違っただろうか? 一年生と二年生のクリスマスは、秋人のことがあったりしたため遠慮したのだ。

「大丈夫よっ! パパもママも大歓迎よっ!」

 あ、そうだ、アリシアと秋人とショウのパパとママも呼ぶといいわ、と笑顔で続けるアリサちゃん。親父や母さんはともかく、僕がパーティに参加する程度で遊園地の埋め合わせができるなら安いものである。父さんたちはどう答えるかな? 聞いてみるのが早いだ
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