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リリカルってなんですか?
A's編
第三十一話 前
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残っていない教室に一人残っていた僕はパタンと本を閉じると、椅子にひっかけていたコートを羽織りカバンを持つと教室を後にした。もちろん、向かう先は手紙で書かれた待ち合わせ場所である。

 手紙で示された待ち合わせ場所は、聖祥大付属小学校の中でも人気のない場所だった。もしも、少し悪い学校にでも行けば教師に隠れて煙草を吸っている生徒がたまり場にしそうな場所である。もっとも、聖祥大付属小では校風から鑑みるにありえない場所ではあるが。

 その場所は特殊校舎の裏側であり、玄関やグラウンドからは離れている。よって、このあたりに人気がないのは自然なことであった。さらに寒さが拍車をかける。今年は、西高東低の気圧配置の影響でずいぶん寒くなるようであり、今年のクリスマスはホワイトクリスマスになるかもしれない、と天気予報が言っていた。

 その中を僕は歩き続け、ついに曲がり角を曲がれば、待ち合わせ場所というところまできた。

 その手前で一度立ち止まってすぅ、と大きく深呼吸をする。この先を曲がれば嫌でも相手が目に入る。そうなれば落ち着いてなどいられない。向こうも僕に気付くだろうから、こんなことをしている余裕はないだろう。だからこそ、この場でドキドキと高鳴る胸を少しでも抑えるために深呼吸をしたのだ。

 さて、と覚悟を決めた僕は、その一歩を踏み出し、曲がり角をまがった。

 ―――最初に目に入ってきたのは、流れるような金髪だった。彼女は、まるで天気を気にするように手を仰いでいた。その瞳は、どこか寂しそうで、怯えるように、不安そうに揺れていた。

「―――アリサちゃん?」

 その声に含まれていたのは、驚きだろうか? あるいは、どうして彼女がここに? という疑問だろうか。僕にはよくわからなかった。彼女の特徴ともいえる金髪と顔とその表情を確認した時に自然とこぼれてきたのだから確認できるわけがない。

 たとえ、自然とこぼれたものであっても口から出た以上、音となり相手に伝わる。僕の呼び声に反応したのか、天を仰いでいたアリサちゃんの視線がこちらに向いた。

「あ、ショウ! 遅いじゃない!!」

「―――時間通りだよ」

 いつもと変わらないアリサちゃんの声が僕の耳を打ち、自然と緊張が解けていた。もしも、これに緊張やほかの色が見えたりしたら、僕も万が一を想像してしまうのだが、あまりにいつも通りのアリサちゃんの様子のそんな想像は、僕の頭から葬り去られることになった。

 ここまでの時間を見て、余裕をもってここに来たのだ。時間から遅れているわけがない、と思いながら僕はアリサちゃんに近づいた。僕が気付いたのはまがってすぐだったため、待ち合わせ場所からは離れていたのだ。

 僕が近づくと改めて彼女と視線を合わせる。アリサちゃんは、僕と同じく聖祥大
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