A's編
第三十一話 前
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別だ。もっとも、そんな輩を僕は相手にしたくない。
だからといって、これが僕たちの学年のものとは考えにくい。確かにそういったことに興味を持っている女の子はいるかもしれない。男の子も女の子も僕たちの年齢ぐらいからは、男の子と女の子を区別し始める年齢だからだ。しかしながら、ここまでの考えに至るとは考えにくい。
つまり、結論から言うと誰から来たものかは、放課後に指定された場所に行ってみるまでわからないということである。
ちなみに、中学生ぐらいでありそうな男からの悪戯という線は消している。あれは、期待と不安に胸を躍らせる哀れな生贄の羊―――あるいは、道化をせせら笑うことが目的であり、小学生が思いつく悪戯ではないと思うからだ。その感情が理解できない以上、その手のいたずらは実行しても面白いものではない。
放課後まではわからない。そうとはわかっていても気になる。
結局、今日の授業はいつもほど集中することができず、珍しく担任の先生からは「おいおい、蔵元珍しいな」とからからと笑われてしまった。その様子を見て、夏樹ちゃんや桃花ちゃん、アリシアちゃん、すずかちゃん、アリサちゃんが心配そうに様子をうかがいに来たが、僕は愛想笑いで大丈夫だよ、と返すしかなかった。
事情を隠したのは、僕が男の子だったからだろうか。なんとなく気恥ずかしい上に、この年代であればラブレターという言葉を知っているため、下手に知られてしまえば騒がれる可能性があったからだ。
そんな風に一日、僕をやきもきさせながらついに指定された時間になった。
指定された時間は、放課後よりも30分ずれていた。放課後は授業が終われば、おしまいというわけではない。そこから掃除とSHRがあるため、終了時間は不規則なのだ。特にSHRは、その日の連絡事項や担任の気分によって時間が変わる。もっとも、1組の担任はSHRが短いことで有名だが。
30分というのはそれらの遅れを吸収するための時間だろう。放課後、一人ではやてちゃんの家から借りてきた本を読みながら時間をつぶした。幾人かはいつもすぐに教室から去ってしまう僕が珍しく残っているのを見てサッカーに誘ってきたが、それは断った。放課後は参加していないが、昼休みは参加しているため僕の立場が男子たちの間で悪くなることはないだろう。それに最近は寒いこともあって、あまりサッカーは人気がないことも幸いしていた。
ちなみに、放課後の用事であるはやてちゃんの護衛に関してはすでにクロノさんとはやてちゃんに連絡済みである。はやてちゃんに用事で遅くなることを伝えると「はよ、帰ってきてな」と言われてしまった。僕としてはそんなに遅くなるつもりはないから、「うん、できるだけ早く行くよ」と返しておいたが。
「さて、行こうかな」
もう、誰も
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