第11話
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して苦笑いしている。李は表情に変化は見られないが、二人のキスを真剣に見つめている。
川神鉄心殿は「若いの〜」と言って髭を撫でている。やがて二人は離れた。
「悠斗のおかげでやる気は充分になったわ!では、悠斗よ!我は行って参る!」
「行ってらっしゃいませ、揚羽様」
「勝ってきてください揚羽様」
「御武運を」
「揚羽様あああああ!!頑張ってくださいませぇぇぇぇぇぇ!!!」
「では、ワシについてきてくれ」
「うむ。分かりました」
川神鉄心殿に連れられて揚羽様は川神院の中に入られて行った。俺達はその背中を見送り、修行僧達の指示に従って各所に配備されるのであった。
小十郎sideout
語りside
夜の川神院で二人の女性が対峙している。
一人の老人が二人の間に立って髭を撫でている。 老人の名は川神鉄心。
武道に関わる者ならば、1度は必ず聞いたことがある武人だ。
彼はかつて最強の人間として名を馳せていた人物だ。今は、年齢を考慮してその称号を弟子の橘平蔵に譲り、第一線からは退いて引退を宣言して若者の育成に力を注いでいる翁だ。
現役を退いたとは言え、今でも彼が練り出した技と瞬間の爆発力、そして不回避の速攻による一撃は他の追従を許してはいない程だ。
その川神院の総代である川神鉄心が、今回の死合いの立会人を勤めている。これはすなわち、公平正大な条件下の中でたとえなにが起ころうと本人達が納得がいくまで戦いが終わることが無いことを示しているのだ。
両者がこれから行う死合を邪魔しようとする者は、川神鉄心を始め川神院の師範代、川神院の外を守っている修行僧並びに九鬼家侍従隊の者達に排除されるからだ。
両者の為の舞台は整った。川神鉄心が対戦者の名前を読み上げる。
「西方、川神百代!」
「ああ!」
長い黒髪を風に靡かせて、一人の少女が前に出る。鉄心の声が周囲に響く。ドォン、と太鼓の音がそれに続いて響く。
「東方、九鬼揚羽!」
「うむ!」
更に対戦者の名前を読み上げる。太鼓の音が辺りにこだまする。
竜虎が対峙する。
両者は互いの目を見つめている。
川神百代は九鬼揚羽の目を見て考える。
(普段はキリッとしているが、優しく親しみやすい人物だったが、今はキリッとしているが熱く闘志を燃やしている。しかも、生半可な闘志ではない。これは本気で楽しめるな)
九鬼揚羽も同様に川神百代の目を見て考える。
(川神の。戦う時以外では鷹楊としておるが、親しみやすくノリの良い友人であったな。だが、戦となれば別人だな。瞳の中には熱く燃えている様な色になっておるな。
悠斗が1度見せてくれた、戦闘が好きな者の目だ。無論、悠斗は戦う事は好きだがむやみやたらな
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