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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
亡国(やみ)の欠片
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ゃい。カルラちゃん」

「はい、行ってきます」

 シドニーから成田までは約10時間から11時間。色々ありましたけどようやく戻ることが出来そうです。
 あ、そうだ。クロエにメール出しておこうっと。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 シドニー国際空港屋上。今正に、彼女を乗せた『ボーイング787』が日本へと向けて飛び立ったのを男は見送る。
 その機体が見えなくなるのを見計らったかのように男が纏っている紺色のスーツの胸ポケットの携帯電話が着信を示し、男は周りに誰もいないことを確認してから電話に出た。

「はい、こちらエス」

『あら、そこでその名を言ってしまって良いのかしら?』

 エスと答えた男の相手の声は若い女の声だ。

「ええ、構いませんよ。誰もいません」

『そう。小鳥は予定通り?』

「ええ、予定通り鷹の子は飛び立ちましたよ。ああいう娘は好きでしたが……」

『情が移った?』

「情が移ったか……ですって? ふふふ……はははははははは!」

 女の声に男は少しだけ笑い声を上げ、その後大きく笑い声を上げた。周りに人がいたら確実に振り向くほどの大きな笑い声だ。
 一頻笑った後、未だに込み上げる笑いをこらえながら男は再び喋りだす。

「くくく! それは……ないですよ。貴方の指示でココまで来るのに10年掛かったんですから、もう少し蓄えたら戻りますよ」

『そう、楽しみにしてるわ。情報源としても、資金源としてもね』

「そこは煽てても良いんじゃないですか?」

 女の言葉に男は少し残念そうな声を上げるが、顔は全くその様子ではなく、むしろ先ほどと同じように笑顔を浮かべている。


『ふふふ、では鷹狩はM(エム)に任せてみましょうか』

「M(エム)? 新人ですか? そんな人物は知りませんが」

 男が怪訝そうに首を捻る。

『んー、そうね。新人……かしらね?』

「貴方らしくもない。珍しく濁しますね」

『ふふ、どちらにしろ貴方には関係ないことじゃない?』

 電話の女性の声が可笑しそうに笑うのを聞いて男も釣られて笑う。

「はは、ですね。それもそうだ」

『ではまたね。S(エス)?』

「了解です。スコール」

 男は切れた携帯電話を再び同じ胸ポケットに戻すと少女の乗った『ボーイング787』の飛んでいった方向を見上げる。

「ああ! こんなところにいたんですか!Mr.(ゴォォォオオオオオオオオ!)!」

 男の後ろから同じ紺に近い黒いスーツを着た男が駆け寄ってくる。男の名前は出立する旅客機にかき消されたがこの場には男しかいないため、男はその声に振り返った。

「もう直ぐ支部で会議が
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