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strike witches the witches of stratos
Ep-03
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を投げ捨てたのは勿体無かった。
あの状況での判断は間違っていなかったと思うものの、後々こうして考えてみると、人間、欲が出てくるもので、機材やら何やらが不足しがちな今の状況では、手痛い損失だった。
心持ち気分を下げつつも、優刀は手際よく報告書を書き終える。
続いて補給の申請書に手を伸ばそうとして、脇に追いやっていた携帯電話が鳴りだした。
「もしもし」
『私だ』
「御用件はなんでしょうか、少佐」
相手はJG52の司令であるフーベルタ・ボニン少佐からだった。
『今すぐ執務室に来てくれ』
「わかりました」
時間にして僅か数秒。簡潔に会話を終えた優刀は電話を切り、深くため息をついた。
「少佐の執務室に行ってくる」
同じく報告書を作成していた武子に声をかけ、優刀は立ち上がると、
「あ、そうだ。これ、出しといてもらえるか?」
机の引き出しから、数通のエアメールを取り出して彼女に渡す。
「いいわよ。相変わらずマメねぇ」
「そうでもないと思うけどな。じゃ、後は頼んだ」
優刀は今しがた作成したばかりの報告書を持って、重い足取りで部屋を出て行った。
◇ ◇
「すまないな大尉。急に呼び出したりして」
余計な装飾品が一切置かれていない、実用性一点張りの執務室。
カールスラント空軍JG52司令、フーベルタ・フォン・ボニン少佐は書類に目を通しながら、優刀を出迎えた。
日に焼けたのか、色素が薄くなったプラチナブロンドはさんばらに肩の辺りで切られ、着ているカールスラントの制服も袖の部分が擦り切れて、よれよれになっている。
まるで化粧っけのない女性なのだが、それが逆に野性的な魅力となっているのは、本人の厳かな雰囲気の所為だろう。
「昨日はすまなかったな。せっかくの非番を潰してしまって」
「いえ、お気になさらず。報告書です」
ボニンは渡された書類に目を通すと、少し驚いた表情を見せた。
「ほう、珍しいな。大尉が損失を出すとは」
「申し訳ありません」
「気にするな。数百人の命を護れたんだ、安いものだ。それにしても……ふむ」
突然ボニンは口端を上げ、笑みを見せた。
「最初はどうなるかと心配だったが、以外に結果を出しているな。いいことだ」
「は、はあ……」
優刀は、曖昧な返事で返すしかない。
元々、義勇統合飛行隊は前線で消耗した各国の部隊で編成した、いわゆる『寄せ集め』部隊である。
当初は戦力が補充されるまでの暫定的に編成されたものだが、各国で運用思想の違う機材が集まったことで、部隊としては非常に汎用性が高くなり、部隊として次々に戦果を挙げるようになった。
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