五十 攻防戦
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ッチと鳥の鳴き声がした。
光り輝くサスケの左腕。化け物と化した我愛羅の左腕。
双方の腕が同時に衝突する。
「ウオオォオオ――――ッ!!」
「―――――――――【千鳥】!!」
同時に飛び移る。先ほどまで我愛羅が立っていた枝上へサスケは軽やかに着地した。
肩越しに振り返る。瞳の奥で車輪が廻っていた。
「いいぞ…!そう来なくては…」
今まで傷一つ負った事のなかった我愛羅。二度も自らを傷つけた存在――サスケを、彼は賞賛した。
鬱蒼と生い茂る木々の中、我愛羅の高笑いがこだまする。
強い者と闘いたい。生を実感したい。己の存在を確認したい。
欲望に身を任せる。すると今度は尾のような形状のモノが我愛羅の身体から生えてきた。ぴしりと木の幹を叩く。
「もっと…もっとだァ…」
更に変化を遂げた相手の様子に、サスケは目を見張った。だが驚愕する間もなく、自身目掛けて飛びかかってくる我愛羅。
寸前以上に速く、強く。
物凄い速度で襲い掛かる我愛羅の攻撃を、すんでのところでサスケはかわした。写輪眼が無ければとっくに死んでいただろう。異常な速さと力を併せ持つ我愛羅の嗤い声がサスケの耳朶を激しく打ち鳴らす。
再び追撃してくる我愛羅。それを【火遁・豪火球】の術で迎え撃つ。等身大ほどもある火の球が我愛羅の身を包み込んだ。
だがその火を容易く押し退け、彼はサスケの目前に迫り来る。
砂に火は通用しない。もっと強烈な炎なら別だが、自分が持ちいる技で今の我愛羅に対抗出来る術は一つだけ。
だがもう【千鳥】は使えなかった。
防御するも吹き飛ばされる。木の幹で強かに背中を打ち、サスケは顔を顰めた。
「どうした!?もう終わりか!」
我愛羅の催促を聞き流しつつ、彼は己の左腕を見下ろした。持ち上げるのも辛いほど痺れている左手は小刻みに震えている。
写輪眼と併用して使う【千鳥】。体内のチャクラを一気に爆発させる事で強烈な突きが可能となるこの術は二発が限度。それ以上使おうとしても術は発動せず、その上死ぬという可能性まで出てくる。
(……どうするッ!?)
思い悩むサスケに向かって、我愛羅の嘲りの言葉が突き刺さる。
「お前の存在価値はその程度か。弱い、弱いな」
喉奥で嗤う。畳み掛けてくる挑発の数々に、俯いていたサスケの肩がぴくりと跳ねた。
「……黙れ」
「なぜ弱いか教えてやろうか?憎しみが足りないからだ!……憎しみの力は殺意の力。殺意の力は復讐の力!」
サスケの左腕が拳を作る。脳裏に浮かぶ、自分のモノではない写輪眼が渦を巻いていた。
己より速く、強く、鮮烈に。
「…黙れ」
零れ落ちる声。無意識に発した言葉は我愛羅に前言撤回を求
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