After days
fall
黄塵万丈
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」
「そこはツッコムな」
1人で先行して戦ったのは元ラフコフメンバーにキリトが動揺してまともに戦えないのではないかと憂慮したからだったが、どうやらそれは俺の見込み違いだったようだ。
「皆は?」
「カーンが大まかに説明して、ボッシュが裏切り者だったていうのは納得したみたいだな」
「了解。まあ、そんな所でいいだろう」
早々に話を打ち切ると、俺達は数メートル向こう側で体勢を立て直しつつあるボッシュに意識を集中させた。
「……やってくれるじゃねぇか。《黒の剣士》。テメェも楽には殺さねぇぜ」
考えてみれば、先程のキリトの放り投げが最初のダメージだ。対して俺達は先程の戦闘と、俺の場合一撃もらっているので、既にHPは4割程しか残っていない。
(気にくわないが……。捨て身でアイツのHP削って、キリトに託すか?)
9割方を残す相手と4割を切ろうとしている俺のHPでは流石に埋めがたい差がある。
これが剣の世界であったらまだしも、この世界にそんなものはない。このままでは確実にやられるだろう。だが、その前に俺はボッシュに訊かなければならない事があった。
「キリトはやらせない。まずは俺からだ。ボッシュ!!」
「は……!!まぁ、いいさ。その風前の灯火のHPでせいぜい足掻け!」
言うなり爪を振り上げると、再び地面がヒビを入れながら崩壊し始めた。
「そう何度も効くかよ!」
まだ大きめの塊を足掛かりにしながら俺はボッシュへの距離を詰める。
残り10m程の所で跳躍し、悠然と構えているボッシュに襲いかかる。
「『クラッシュ』」
「……っ!!『クラッシュ』!!」
待ち構えていたのであろうボッシュはカウンターの《打撃強化》を叩き込もうとするが、間一髪で俺の相殺も間に合った。
破裂音を響かせてお互いに弾き飛ばされるが俺は空中で体勢を立て直すと、既に大分脆くなっている地面を伝って再度、距離を詰める。
「……くっ!」
突然、足下が崩れ、斜面を滑るように落ちていく。
「レイ!」
「大丈夫だ。しばらく頼む」
キリトが降下しようとするが、それを押し留め、俺は反転すると逆に斜面を降り始めた。
底に着くと、辺りは断崖絶壁で地上に登れそうな所はいくらも無かった。
「だがまあ、無いわけではないしな」
記憶を頼りにボッシュが落下した位置に回り込むように渓谷の中を掛ける。
その時、
――ズゥン!!
脆くなっている壁の一部が剥がれ、瞬く間に崩れ去る。幸い離れた場所の出来事だったので、直接食らうことは無かったが―――、
「―――いや、まずい!!」
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