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第五十話 目指すは巨人の国
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あっ!!」

巨人と言うものはそれほど軟ではない。雷で顔を灼かれようとも、巨大な火の玉に飲み込まれようとも、巨人の突進は止まることを知らない。

「じゃ、あとはよろしくなソレイユ」

「頑張れよ」

「・・・・・・はぁっ!?」

一瞬何を言われたのか理解できなかったソレイユだが、言葉を意味を理解するや否や驚きの声を上げる。それはそうだろう。やるだけやって後は任せた、なんて急に言われたらだってそうなる。全力で文句を言いたいが、今は目の前に迫る巨人をどうにかしなければならないので、文句は後回しとなった。

「ったくよぉ!」

文句を言いながらも居合の構えを取るソレイユ。鞘を握り、鍔に親指を添えているのは【ザ・ネームレス】の方だった。巨人が進撃してくるにもかかわらず、落ち着いた心持でふぅと静かに息を吐くと、ネームレスの柄に手をかけ静かに抜き放たれ、静かに宙を翔ける。≪火妖精の三将≫に数えられ、実力者であるフォルテに一切の反応を許さなかった月影桜火/ソレイユの絶刃が今度は何倍もの巨体を誇る巨人に向かって振るわれた。

「おいおい・・・」

「マジ、かよ・・・!?」

ソレイユと巨人の交差。その一瞬に普通ならありえないとされる現象がおこった。巨人の一刀両断。『涅槃寂静』はそれを成してしまった。ルシフェルとレヴィアがHPを削っていたとはいえ、並大抵のものには出来ることではない。ルシフェルはソレイユの異常さをあらためて思い知らされた。初めてソレイユの異常さを見るレヴィアは開いた口がふさがらなかった。そんな二人とは裏腹にソレイユはネームレスを鞘に納めると、ルシフェルたちに向かって叫んだ。

「おーい、巨人は倒したんだから早くいこーぜー」

その言葉にハッとなってソレイユの後を追う二人。そんな中――

「なぁ、ルシフェル・・・」

「・・・何だ?」

「・・・あいつって何者だ?」

「・・・・・・・・・剣の化け物じゃねぇか?」

なんて会話が行われていたのだが、それはソレイユのあずかり知らぬことであった。

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