第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十六 〜薊城〜
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いで、今年は殆ど収穫は望めへんちゅう話や。ウチらは、晋陽を出た人数で糧秣を揃えとるやろ? けど、この調子やったら、補給も厳しいんちゃうか?」
「……では、奴等を連れていけば」
「足りなくなるのだ……」
「愛紗も鈴々も気付いた通りや。今いる兵士にも不満が出て、士気に関わる。そないな真似、ウチは願い下げや」
「と言う訳なんですがー。お兄さん、どうしましょうか?」
「結論は出ているだろう。ただし、ただ解き放てば、また困窮の末、悪事に走るやも知れぬ。目的だけは与えるべきだろう。稟」
「はい」
「厳しいとは思うが、数日分の携行食を、分け与えてやってくれ」
「……では、晋陽に?」
「それしかなかろう。并州とて余力がある訳ではないが、月ならば何とかしよう」
「わかりました。何とか、遣り繰りしてみましょう」
ため息をつく稟。
流石に気が重いようだが、これが最善……いや、今の最良の選択だろう。
それでも、彼らのうち、全員……いや、半数が辿り着ければ御の字、というところか。
「主。……あまり、御自分を責めないで下さい。これは、主の責めではありませぬ」
「また、顔に出ていたか?」
「ふふ、さて、どうですかな?」
悪戯小僧のように、口許に笑みを浮かべる星。
「風。手伝って下さい」
「わかりましたー」
皆が、それぞれ、生きるために懸命。
ならば、私も精々足掻くとしよう。
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