プロローグ
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その空気に喉が絞まり、背中に汗が流れた。
目の前ではこの状況で動揺しながらも剣を構える兵士達。
そしてその奥にいる偉そうな兵士と目が合う。
その瞬間、兵士の口角が上がるのが分かった。
「豪帯!!逃げろ!!」
お父さんの声が響いた。
『あのガキを捕まえろ!!』
その声で兵士数人が僕目掛けて走ってくる。
体が強張って動けない。
「立て!!早く!!」
目の前の状況がスローになって見える。
必死でお父さんが叫んでいるが、どうにもならない。
後ろからも男達の叫び声が聞こえる。
そしてお父さん達と群衆の間まで迫っている兵士達。
ニヤニヤしながら顎をさする偉そうな兵士。
僕は呟いた。
「・・・神様、助けて」
それは一瞬の出来事だった。
眼前に迫る兵士達と僕の間を白い何かが遮った。
その大きな体躯のそれは大きな鳴き声を空にこだまさせた。
そしてその白が僕の前を通り過ぎると真っ赤な血を首から噴出した先頭の兵士が目に入った。
他の兵士たちは身構える者、動揺する者、尻餅をつく者など様々だった。
そしてその上に跨る一人の人間が声高らかに叫ぶ。
『我が名は鮮武!!罷り通る!!』
夕焼けに照らされた彼を僕は目に焼き付けた。
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