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〜烈戦記〜
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嫌な予感がする。
お父さんの名前が呼ばれた。
そして刑を受けると告げられる。
お父さんは何をされるのだろう。
それを聞こうと隣の村の人に目をやる。

「・・・おお、なんということじゃ」

彼は群衆の先の光景に涙を流しながらつぶやいた。
その横顔を見た時、既に体が勝手に動いていた。
不安、計り知れない不安。
この先にお父さんがいる。
しかし、何がどうなっているのか。
それがわからない。
今にも不安で体が押しつぶされそうになる。

僕は群衆の中を掻き分けて前へ前へと進む。
聞こえてくるのは涙を押し殺す声や怒りのあまりに歯がきしむ音。
その中をただただ掻き分けて進む。

そしてついに群衆の先頭へと出た。


「・・・お父さん・・・叔父さん?」

群衆を遮る柵の向こうに広がっていた光景はお父さんと叔父さんとその他の村の人たちが後ろで手で縛られて座らされている状況だった。
お父さんは既に何かを悟っている表情をしている。
そしてその隣にいる叔父さんは気を失っていて何故かボロボロだった。
そしてその後ろで腰に剣を携えた兵士が並んでいる。

『以後!!戦時中、国に反逆する者はこうなると思え!!』

一番兵士の中で偉そうな人間がそう叫び手を上げる。
それを合図に並んでいた兵士たちが剣を引き抜く。
周りがどよめき、騒ぎ始める。

「豪統様!!豪統様!!」
「豪統様!!」

もうこの先何が起こるのかが理解できてしまった頭は真っ白になる。

「お父さん!!叔父さん!!」

僕も必死に叫ぶ。
何故家族の名前を叫んでいるのかはわからない。
ただ叫んだ。

「ねぇ!!お父さんが!!叔父さんが!!ねぇ!!」

必死に隣にいた女の人にしがみつく。
一瞬とまどった女の人だが何かを察した。

「見ちゃだめ!!」

そう言って僕に覆いかぶさってくる。
何故か冷静さがもどった。

「・・・お父さんはね、立派な人じゃよ」
「あそこには叔父さんもいるんだ・・・だから」
「・・・」

女の人の涙が服に染みてくる。
必死に声を殺して泣いている。

すると一瞬だけ女の人の体の間から前が見えた。
兵士が剣を構える。

「だめ!!」

声を上げたと同時に女の人を突き飛ばして柵の隙間から入ろうとする。
不意の子供の行動に女の人が止めに入るのが遅れた。

「誰かあの子を止めて!!」

その声を聞いて周りが動き始める。
しかし、僕の体は思いのほか簡単に柵をすり抜け、勢いが殺されずそのまま前方へと飛び出る。
柵の向こうの男の人たちが僕に必死に手を伸ばすがとどかない。

「お父さん!!叔父さん!!」

飛び出した勢いで叫んだ。
周りもその光景に一瞬場が凍りつく。

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