新たな我が家〜
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・・・二ヶ月前、直葉は目覚めた俺と兄の和人を見るなり大泣きした。その後、ぎこちなかったが色々話して今ではやっと普通に会話が出来るようになった。呼び方も“お兄さん”から“亮お兄ちゃん”にしてくれた。・・・流石に呼び捨てにまでは戻らなかったが。
「胴着まで着るなんて律儀だね、直葉は」
「うーん・・・やっぱり気合いが入るからかな」
さてさて、ここでこの世界の俺の家族・・・桐ヶ谷家について説明する。桐ヶ谷家は埼玉県南部のとある城下町の中でも昔の街並みを残した地域に建つ古い日本家屋だ。・・・まあ、当然・・・ベタだが祖父はバリバリの頑固者で、若い頃は剣道で鳴らし、長年警察に奉職したらしい。祖父の息子・・・つまり俺と直葉の親父は同じ道を進むことを期待していたが、親父は高校まで剣道を続けたのだがすぐにアメリカの大学に留学、そのまま外資系の証券会社に就職、日本支社に転属したのち、母さんである翠と結婚した。だが親父はその後も太平洋を行ったり来たりで家に中々帰ってこれず、その熱意は俺達三人に向けられた。その結果は以前話した通りだ。直葉はずっと剣道を続け、なんと中学最後の大会では全国の上位まで進出して、しかも有力高校への推薦入学も決まってるそうだ。
「(大会、見たかったな)」
「はい、タオル。汗びっしょりだよ?」
「お、ありがとう。んじゃ、直葉の自主トレを見させてもらうかな」
俺は縁側に腰掛けて汗を拭う。直葉は準備体操をしてから、竹刀を振る。リズムよく、風切り音が聞こえてくる。
「(体制も綺麗。太刀筋も真っ直ぐ。・・・相当鍛錬したんだろうな・・・)」
その時、頬に冷たい感覚。
「でっ・・・!?」
不意打ちにビックリして、後ろを振り返ると、ニヤリと笑ってる兄の姿があった。
「和人〜〜〜」
「はは、そら」
和人はそう言ってミネラルウォーターを渡してきた。それを受け取り、飲む。
「亮もよくやるよな」
「兄貴はもう少し鍛え直した方がいいぞ?」
「ちゃんとジム行ってるだろ?」
「・・・よく考えたら、元々細身だしな・・・」
直葉といると和人は姉妹に見られることもあるそうだ。・・・てか面白い話、俺達は三人いてようやく兄弟に見えるとか。
「でもま、兄貴は元々体力と筋肉ないしな。今くらいで丁度いいか」
「逆に亮は鍛えすぎじゃないか?」
「まあ、癖っていうか・・・日課って言うか・・・」
基本的に鍛錬は欠かさずやらないとウズウズする。大怪我した時とか完治するまで何もできないから、凄い苛々するし。
「あ・・・」
そこで直葉が和人に気付いた。
「おはよう」
和人はそう言ってもう一本持ってたミネラルウォーターを放
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