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ソードアート・オンライン ーコード・クリムゾンー
第六話 笑う棺桶
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した剣だ。ゆえに構造上は脆く、相手の剣を弾くことはできない。
ゆらりとした動作で、ザザは冷静に一撃を避ける。カウンターで突き出されたエストックが、ギリギリで剣先を避けたカズラの肩を掠めて、わずかにHPを削る。

「どうした、動きが、鈍いな。俺たちを、裁くのだろう?」

すべて分かり切ったようにザザが言う。
実際、ザザのHPには余裕があるとはいえ、カズラの一撃をまともに食らえばただでは済まないだろう。ゆえに、彼女は下手に強力なソードスキルを放つことをためらっていたのだ。

このままではマズイと顔をしかめるカズラ。そして次の瞬間、その表情が凍りついた。

どこか儚げな――大音響の破砕音が響き渡る。

「っ……!?」

振り返りたい気持ちを押さえつけて、カズラは足を踏みしめる。しかし、それがわずかな隙になった。
ザザのエストックが青色のライトエフェクトを纏う。直後、連続の突きがカズラに襲い掛かった。

「なめ、るな……!」

一瞬の隙を狙われたとしても、戦闘能力においてはカズラのほうがかなり上だ。ザザのソードスキルを見切り、冷静に捌いていく。
八連撃の最後の一撃を避け、カウンターを食らわせようとしたとき、後方から投擲で援護に徹していたジョニー・ブラックが強引に割り込んできた。
ジョニー・ブラックの手に握られているクリスタルに気づき、カズラはとっさに目を瞑った。

二人の間で閃光が弾ける。
光の中、カズラは目を瞑ったまま後方に跳び下がった。
右手になにかが掠めるような気配。ジョニー・ブラックがナイフで攻撃を仕掛けてきたのだ。

「ちっ、意外に反応がいいじゃねぇかよ」
「昨日、その手は見ましたから……!」

言い返しつつ、カズラは上段からカタナを降り下ろす。
しかし直後、ジョニー・ブラックの肩口からエストックの剣先が伸びてきた。

「しまっ……!」

非ダメージが大きい顔に向かって、エストックが迫る。ここで無理やりカタナで迎撃すれば、ジョニー・ブラックにHPを削り切られてしまうだろう。
つまり、チェスや将棋でいう『積み』だ。
そんな中、せめて一人だけでも、とカズラはカタナに力を込める。

そのときカズラのカタナが、横から伸びてきたもう一本のカタナに弾かれた。
覚悟が一瞬にして絶望に変わる。
最早エストックに貫かれるのを待つだけのカズラは、迫り来る死に目を見開いて――。

カズラのカタナを弾いたカタナが、そのままザザのエストックを粉砕した。

「君が手を汚す必要はない。――そこで黙って見てなよ」

赤い裾が翻り、その向こう側から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「――これからは、俺の舞台だ」
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