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第六話 笑う棺桶
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は個人的な用事を済ませようとしていた。
俺の目的はただ一人。――あの男だ。

ヤツはラフコフメンバーとしては無名だが、俺は一度、どうしても会わなければならない。

「どこにいやがる……」

しかしどういうことか、いくら探してもヤツの姿が見当たらない。よくよく見ると、この場にはラフコフのリーダーすらもいなかった。
仲間を囮に、自分たちだけ脱出したということか。

「ちっ……」

思わず舌打ちを漏らす。ヤツがいなければ、こんなところに来た意味がない。
そのとき、討伐隊とラフコフメンバーの交戦地帯で破砕音が響いた。
プレイヤーの誰かが、HPを全損して消滅する音だった。それがさらに複数回響く。とっさに索敵スキルで確認すると、討伐隊の何人かの反応がなくなっていた。

「――傍観はここまでだな」

俺は呟くと、ウインドウを呼び出して装備フィギュアを操作する。
目立ってしまうので装備していなかった愛用の赤コートを羽織った。

「さぁて、久々に本気で行くか」

コートのフードを目深にかぶり、俺は戦場へと繰り出した。





戦場の最前線。カズラはそこで二人のプレイヤーに圧されていた。

「おいおい、どうしたんだよ『刀姫』様ぁ……? 随分弱っちいじゃねぇの」

嘲るような声を上げたのは、頭陀袋のようなものを頭にかぶった黒装束の男――『ラフィン・コフィン』トップスリーの一人、ジョニー・ブラックだった。彼の右手には緑色の液体が塗られたナイフが握られている。
対してもう一人、顔を覆うドクロの仮面をつけた赤い目のエストック使い――『赤眼』のザザはなにも言わず、しゅうしゅうと掠れた笑みを漏らしていた。

『ラフィン・コフィン』でも特出した実力を持つ二人、それを相手にしても、本来のカズラならば十分に勝機があった。
しかし現在、ジョニー・ブラックとザザがHPを半分以上残っているに対して、カズラはすでに半分以下まで減少していた。

我ながらだらしない、とカズラはカタナを握り直した。まさか自分が、殺人者を殺すことにためらうほど弱い人間だと思っていなかった。

「甘ぇんだよ、『刀姫』様。どうせなら殺す気で掛かってこいよぉ……たかがゲームなんだぜ? この世界で誰殺そうが、どうせ茅場の罪になんだよ。――だったら、殺さなきゃ損だろ?」
「黙れ、殺人狂が……!」

自分自身を奮い起たせ、カズラはジョニー・ブラックを睨み付ける。

「あなた方のあり方は間違っている。どんなことであろうと、殺人は罪です。この世界でもそれは変わりません……!」
「なら、俺たちを、裁く、か……?」
「それが、必要であれば!」

叫び、カズラが目の前に立ち塞がったザザに打ち掛かる。
ザザの武器であるエストックは刺突に特化
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